ジョージ・M・フレドリクソン『人種主義の歴史』(みすず書房)・続

世の中には変わった本がある。 著者によって書かれた本文より、 訳者が書いた解説のほうを高く評価したくなる、 という本がある。 本書がそれである。 というわけで、李孝徳による訳者解説を今回は取り上げたい。   ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ 訳者によれば、フレドリクソンの人種主義の定義は、次のとおりだ。 ……「支配的権力を持つエスニック集団や歴史的な集団が、別な集団に対して、否定的に認知される身体的・文化的な集団的差異を共約不可能で、遺伝的に不変であると規定して本質化(=人種化)し、優等/劣等で階層化された人種秩序を作り上げたうえで下位へと位置づけ、その劣位性を社会悪と見なして差別、周縁化、支配、排除、殲滅といった暴力を合理化しつつ、社会的に行使すること」(179頁) ここにはどのような特徴があるのだろうか? ……「他者」に対する偏見やステレオタイプ化といったレベルで一般化せず、「他者」に一方的に付与した否定的な属性としての差異をその「他者」の本性として遺伝的に本質化する点と、そうした本質化が「他者」に対する社会的な暴力(差別、支配、排除、殲滅)の合理化と実行に結びつくという点で限定している……。(180頁) これにはメリットがあると訳者は言う。 不毛なイデオロギー論争・抽象論争に走ることなく、 差別、支配、排除、虐殺などの「他者」を否定する 政治実践に関わって機能するものに限定しているからである。 またフレドリクソン…

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ジョージ・M・フレドリクソン『人種主義の歴史』(みすず書房)

人種差別は誰もが悪いことだと言う。 しかし人種差別はなかなかなくならない。 なぜだろうか? あらゆる差別は偏見によって合理化されるからである。 憲法修正条項でアフリカ系アメリカ人は平等な市民とされていたにもかかわらず、米国南部では人種隔離法が可決され、黒人の投票権が制限されることで、アフリカ系アメリカ人は下層階級の地位に従属させられた。極端な人種主義のプロパガンダでは、黒人男性は性欲のままに白人女性を欲して略奪する野獣として表象され、リンチが合理化された。……20世紀の前半までには、犠牲者は単に殺されるのではなく、死ぬまで拷問されることが多くなった。(1-2頁) ここにレイシズムの特徴を見ることができる。 黒人男性は「性欲に溢れた野獣」としてイメージされる。 だから「同じ人間」ではないというわけだ。 ところがこのレイシズムは近年変貌を遂げている。 かつてのレイシズムは、 人種・民族を身体的特徴によって生物学的に分類し、序列化し、 差別を正当化するものだった。 けれども現在のレイシズムは、「文化」のかたちをとる。 文化の異なる人びとに対する差別を正当化するものである。 その際の「文化」は「国民国家」と素朴に同一視される。 ではこうした変化はいつごろからはじまったのだろうか? ……1948年にアパルトヘイトが始められ……アフリカ人だけでなく、異なる「民族(ピープルズ)集団」間のあらゆる婚姻と性的関係を禁止する法…

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『カーズ2』★★☆☆☆

CGアニメ『カーズ』の続編である。 映像は見ていて楽しいのだが、内容はイマイチ。 1作目のほうがはるかにおもしろかった。 原題 CARS 2 (監督ジョン・ラセター/2011年アメリカ)

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竹中平蔵というひと

この人は筋金入りの愚鈍ではないだろうか。 「機会の平等」「小さな政府」を主張し、 規制緩和をすればこの国は良くなると主張してきた人物だ。 最近では、非正規雇用を搾取しているのは正社員だ、 などとワケの分からない妄言で話題になっている。 このひとは前々からいくつかのスキャンダルがささやかれていたのだが、 なかなか事件化される兆しが見られない。 ただこのひとのイカサマぶりがやっと先日記事になった。 竹中平蔵は、有名私立大学の教授をつづける一方、 人材派遣会社「パソナ」の会長も務めている。 竹中平蔵氏が旗振り 人材会社を潤わす「300億円」助成金 労働移動という名目でリストラ促進  これも人材派遣最大手のパソナによる政官接待の成果なのか──今年3月から大幅拡充された「労働移動支援助成金」が注目を集めている。この制度で多大な恩恵を受けるのがパソナだからだ。  労働移動支援助成金は、従業員の再就職を支援する企業に国がカネを出す制度。それまでは転職成功時に限って上限40万円の補助金が出たが、これを改め、転職者1人につき60万円まで支払われることになった。しかも、仮に転職が成功しなくても、従業員の転職先探しを再就職支援会社に頼むだけで10万円が支払われる。この制度拡充を主張したのが、パソナ会長であり、産業競争力会議のメンバーを務める竹中平蔵慶応大教授だった。 「労働力の移動と言いますが、要はリストラ促進助成金です。従業員をクビにすると助成金を受…

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C・ダグラス・ラミス『要石:沖縄と憲法9条』(晶文社)②

前回のつづきである。 著者のダグラス・ラミスは、次のような手紙を配布したことがあるらしい。 アメリカの国防省から給料をもらっているみなさんに聞きたいことがある。アメリカが沖縄に軍基地を置くことをどうやって正当化できると思うか。一体その権利がどこからくるのか。この問題について不安になることがあるのか。あるなら、あなた方は自分にどうやって説明するのか。本当に知りたいから。 すると、以下のような反応が返ってきたという。 いろいろな答えが来た。基地がないと北朝鮮か中国か台湾(ママ)が侵略するだろう。基地がないと沖縄の基地労働者、特に芝生を刈ってくれる庭師、は職を失って、沖縄の経済は破産するだろう。基地反対デモに参加している人は沖縄人ではなく、本土日本の左翼団体が沖縄へ送る人だけだ。「僕の妻の叔父さんが、基地に反対していないのに、村の圧力で反対デモに参加させられた」などなど。(163頁) これはとても興味深い。 なぜなら、日本の右派もこれと同じことを言っているからだ。 またしても日本人右派はアメリカ人の猿マネだったわけである。 「友よ、これは戦利品だ。第二次世界大戦中、アメリカが沖縄を勝ち取った。この岩をゲットするために、多くのアメリカ人が命を失った。アメリカの領土になった。アメリカは親切に沖縄を日本ヘ返したが、それにはアメリカの利益を守るために軍基地を残してもいいという条件が付いていた。やろうと思えばそのすべてを持ちつづけることができた(アメリカ領土であるグ…

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C・ダグラス・ラミス『要石:沖縄と憲法9条』(晶文社)①

殺人(人殺し)に鈍感な日本人に読ませたい本だ。 国内で殺人事件が起きると情緒的に「死刑」を大合唱するくせに、 国家が大量殺人を起こしても責任者に「死刑」を求めない。 天皇をはじめとして戦争責任者は、なぜか日本人によって免責された。 オウム真理教教祖には「死刑」を求め、天皇および戦争指導者は免罪。 未成年にも「死刑」を求めるが、天皇・戦争指導者は勝手に免罪。 日本人は、ひとを殺すことを決して否定してはいないのである。   ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ 戦争というのは、社会にどのような影響を及ぼすものなのか? 国家が戦争を遂行するのは、容易なことではない。 なぜならひとはひとをすぐに殺せるわけではないからだ。  ヘジェスが調べた統計によると、人を殺すことに関して抵抗を感じない「生まれつきの殺し屋」は人口の2%に過ぎず、残りの98%はその抵抗を超えなければ兵隊にならない。その抵抗を突破するのが軍事訓練の重要な目的だが、その訓練を受けても人を殺せない兵隊もいる。第二次世界大戦中、前線にいた米軍の兵士のうち、実際鉄砲を撃ったのは半分に満たなかったが、その後、訓練は改善され、ベトナム戦争では90%になった。しかし、そのような厳しい訓練を受けても、兵士が初めて人を殺した時激しい拒否反応が起る。恐怖に溢れてライフルを落としたり、泣き出したり、嘔吐したりすることがよく起こるらしい。時間がたてばだんだんと慣れてくるが、逆にあまり長く戦場にいると、戦争…

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『サブウェイ』☆☆☆☆☆

主人公が、パリの地下に広がる空間を逃げまわるというお話。 あまりに退屈だったので、30分で観るのをやめた。 30分も我慢した自分を褒めてあげたい。 久々の★ゼロ。 原題 SUBWAY (監督リュック・ベッソン/1984年フランス)

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田中伸尚『憲法九条の戦後史』(岩波新書)

最近、『赤旗』に登場する政治家が話題になっている。 自民党の重鎮が何人も登場し、現在の安倍政権を批判しているからだ。 じつはいまから10年近く前にもこんなことがあった。  郵政大臣、防衛政務次官、自民党副幹事長、同国防部会副部長などを務め、「タカ派」議員として知られた箕輪登さん……が、「自衛隊のイラク派兵は違憲」と国を相手に訴訟を起こしたのは、小泉純一郎首相が自衛隊の海外派兵を強行した直後の04年1月だった。(i頁) そもそも自衛隊そのものが違憲の疑いが強い。 それなのに、政府はこう言って正当化してきた。 ◯ 専守防衛の「実力」だから自衛隊は合憲です ◯ 海外派遣することはありません ◯ 集団的自衛権を行使することもありません ◯ 非核三原則は守ります ◯ 武器輸出三原則も守ります すべてウソだった。 いままで言ってきたことはすべてウソだった。 そしていま自民党は、 「限定的」な行使にかぎって集団的自衛権を容認する、 と言っている。   ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ 集団的自衛権について、従来の日本政府の解釈はこうだった。 「持っているが、行使できない」 個別的自衛権については、「持っているし、行使できる」。 個別的自衛権まで否定する意見は、いまやほとんど聞こえない。 日本政府も個別的自衛権は行使できると考えている。 個別的自衛権まで否定するのは論外だと思っている。…

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田中伸尚『靖国の戦後史』(岩波新書)

靖国神社は、「天皇の神社」である。 それだけでなく、「戦争神社」でもある。 その靖国神社が戦後に生き残るためにとった作戦は、 国家と分離して一宗教法人になることだった。 靖国神社で行われた臨時の大招魂祭に天皇が出席した11月20日、政府は神社と国家の分離は避けられないとの認識に基づいて、ようやく神社の国家管理廃止の基本方針を閣議決定した。それを基に、政府はCIE〔GHQ民間教育情報局〕と同月28日、12月4日、そして12月15日の3回、直接交渉した。その2回目の会談で、日本側の曾禰益終戦連絡事務局第1部長と飯沼一省神祇院副総裁は、CIE側のW・バンス宗教課長に靖国神社の存続問題に関して日本政府の考えをこう伝えた……。  「靖国神社は、完全に国家の行政及び殊遇を離れ、かつ新たな祭神も祭ることもないだろう。すでに祭られた祭神の遺族を氏子とする一神社として存続する」。  すると、バンス課長が「靖国神社は戦死者の記念碑的なものとして存続するという意見もあるようだが」と問うと、曾禰部長はこう答えた。  「政府はまだはっきりとは決定していないが、先般の閣議決定からすれば、当然、記念碑や廟ではなく、一箇の神社として存続することを許容することになろう」と。(10-11頁) この御仁は、いまから見れば、しれっと嘘をついていたことになる。 政府との特別な結びつきが結局つづくという点もそうだが、 神社本庁には入らず単独の宗教法人となったこともそうである。 大嘘つきの靖国神社…

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田中伸尚『日の丸・君が代の戦後史』(岩波新書)

日本には、国旗・国歌を定める法律がずっとなかった。 いわゆる国旗国歌法が制定されたのは1999年だった。 実質的に2週間ほどの審議だけのスピード可決だった。 これ以後、下記のような出来事が次々に起きた。 ◯ 8月17日、ポリドールは、ロック歌手忌野清志郎のアルバムCDにパンク調にアレンジされた「君が代」が収録されている、として発売中止。…… ◯ 8月25日、長崎県町村議長会主催の研修会で中川八洋筑波大学教授は「『日の丸』『君が代』に反対したものは、非国民だ」と発言。 ◯ 9月30日、梶原拓岐阜県知事は県議会会議で「国歌国旗を尊重できない人は、日本国籍を返上してほしい」と発言。10月7日、各方面からの批判で「言葉足らずで、誤解を招いた」として撤回し、議事録からも削除。 ◯10月1日、広島県教育委員会が8月に行った2000年度の教員採用試験の面接で、受験者に「国旗・国歌についてどう思うか」などと質問していたことがわかる。 …… ◯ 10月3日、広島県警広署が管内の呉市の一部や4町公立小・中学校の運動会で「日の丸」「君が代」の掲揚、斉唱の実態を各教育委員会に問い合わせていたことが判明。 ◯ 12月8日、横浜市教委が市内の514全市立学校長に「日の丸」掲揚と「君が代」斉唱に反対する教職員をチェックするための「対応シート」を配布していたことが分かった。(iii-vi頁) これらはほんの氷山の一角にすぎない。   ◆  ◆  ◆  ◆  …

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『コズモポリス』★☆☆☆☆

金融の世界で巨万の富を得た主人公が財産を失っていく。 というお話なのだが、 場面のほとんどは高級リムジンの車内で、 あまりに退屈だったので、途中で観るのをやめた。 つまらん。 原題 COSMOPOLIS (監督デヴィッド・クローネンバーグ/2012年フランス・カナダ)

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舞の海の差別

何か好きになれないものを感じさせるひとがいる。 悪いひとには見えないけど、どこか嫌なものを感じさせる。 しばらくして、その理由が分かる、ということがある。 わたしにとって舞の海がまさにそうだ。 以前から、何か気に食わなかった。 悪人の匂いが漂っていた。 どこかの番組での何気ない発言を聞いて、 舞の海に対する警戒心がわたしのなかに芽生えたのかもしれない。 ただ何がキッカケで警戒するようになったのかは、覚えていない。 しかし、今回のは決定的である。 “昭和天皇万歳”集会で――舞の海氏が排外発言  改憲を唱える政治団体が4月29日、東京・明治神宮会館で開いた「昭和の日をお祝いする集い」で、厚労政務官・高鳥修一衆院議員(自民)らを先頭に、来賓と全参加者約250人が起立し、“聖寿万歳”と称し「天皇陛下万歳」を大合唱した。この日は昭和天皇の死去後、みどりの日になったが2005年に昭和の日に法改正。主催団体であるNPO法人「昭和の日ネットワーク」は、吉見義明中央大学教授の従軍「慰安婦」問題訴訟で被告・桜内文城衆院議員(維新)の代理人を務めている高池勝彦弁護士の事務所に連絡先を置く。  “式典”では、竹下亘衆院議員(自民)に続き、田沼隆志衆院議員(維新)が「祝日法に『昭和天皇陛下の誕生日』という言葉を入れると共に、『文化の日を明治の日に、勤労感謝の日を新嘗祭にする』よう、祝日法全体を見直す」とも発言。そのほかの野党では民主党の金子洋一参院議員の名も祝…

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安倍晋三による茶番劇

5月15日、軍国主義者の安倍首相が解釈改憲の検討を発表した。 右翼の安倍首相は、みずから設置した私的懇談会の報告にもとづき、 つまり何の民主的正当性も持たない集団による、 はじめから結論が決まっていた懇談会の報告にもとづき、 集団的自衛権の行使を認める検討に入ると表明したのだ。 「特集・集団的自衛権」(朝日新聞ウェブサイト)を参照。 あらかじめ反対派を排除するやり口は、原発とまったく同じである。 極右の日本政府は学習能力を欠落させていると言うほかない。 軍国主義者安倍首相の記者会見は、 ニュース番組が生放送できる時間帯に設定され、 NHK、民放各局はきちんとそれを生中継した。 右翼の安倍首相は、この会見で、パネルを用意して、 いかに集団的自衛権の行使が必要かを熱心に説明してみせた。 ネット上では早速この紹介された事例がいかにおかしいかが指摘された。 荒唐無稽な非現実的ケースばかりだったからだ。 そもそもイラクで日本人ボランティアが武装勢力に人質になったとき、 彼らは何と言っていたのか? 自己責任、自業自得、と言ったのだ。 福島や沖縄に犠牲を強いておきながら、 生活苦のひとびとを大量に生み出しておきながら、 医療も受けられないひとびとを死においやっておきながら、 よくもいけしゃあしゃあと「国民の命を守るため」と言えたものだ。 軍国主義者の安倍首相は世界中から失笑を買った。 だが、おかしかったのはそれだけ…

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豊下楢彦『集団的自衛権とは何か』(岩波新書)

右翼・安倍晋三というひとは、つくづく卑劣な政治家だと思う。 河野談話の見直しを画策しながら、 国際的に大きな批判を招き自分の妄想が通用しないことが分かると、 「政府としては河野談話を継承する」などと白々しく述べる。 従軍慰安婦問題で軍による強制はなかったと言いながら、 国際的批判を浴びるとたちまち米国に向けて形式的な謝意を表明する。 「侵略の定義は決まっていない」などと前代未聞の暴言を吐く。 憲法第9条の「改悪」を主張していたはずが、 それが果たせないと分かると「第96条」を変えようと言い出す。 それもむずかしいとなると、 こんどは政府解釈だけで「集団的自衛権の行使」を認めると言い出す。 ときの支配者の気分で憲法解釈を勝手に変えてもいいのなら、 それはもう法治国家でも法の支配でも何でもない。 それはむき出しの独裁制であり、まさに日本の今はそれである。 だから安倍晋三の面構えからは悪人特有の悪臭が放たれている。 アジアに傲慢で欧米におびえる彼の目はいつも泳いでいる。 キョロキョロと泳いでいる。 この、天ぷら野郎め。 (「天ぷら野郎」の意味が分からない方は検索してください)   ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ 昨日(5月15日)、軍国主義者安倍首相がとうとう解釈改憲を表明した。 集団的自衛権の行使を検討すると公式に宣言した。 これは実質的なクーデターである。 わたしたちはこれを「5・15事件」…

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『ザ・マスター』★☆☆☆☆

主人公は心に問題を抱えていた。 酒に溺れる彼が偶然出会ったのは、新興宗教の教祖だった。 主人公はやがてこの教祖の仲間に入るのだが、という物語。 先ごろ亡くなったフィリップ・シーモア・ホフマンを追悼する意味で鑑賞。 彼は教祖を演じている。 まあなかなかつらかった。 この作品をおしまいまで観るのがつらかった。 退屈だったからだ。 この監督の作品は『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を観ているが、 それよりも退屈さが極度に増していた。 アメリカにとって石油も宗教も深刻な問題だろうけど、 その深刻さや根深さがうまく表現できていないように感じた。 出演 ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマンほか 原題 THE MASTER (監督ポール・トーマス・アンダーソン/2012年アメリカ)

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長谷川公一『脱原子力社会へ』(岩波新書)

安倍晋三は、絵に描いたようなバカである。 そのうえ絵に描いたような悪人である。 原発を海外に輸出して、核を世界中に拡散させようとしている。 そのときの彼のキャッチコピーは、 「日本の原発は世界一安全です」「世界最高の原発技術です」だという。 誰がどう見ても詐欺師である。  福島第一原発の1号機は1966年12月設置許可が出され、67年9月に工事認可が出された古い原発だが、非常用発電機を地下に置いたのは、竜巻やハリケーンを想定した「米国式設計」をそのまま採用したためだった。東電最初の原発だった1号機は、ゼネラル・エレクトリック(GE)などアメリカの企業が設計と工事を仕切った。「『東電は運転開始のキーをひねるだけ』という『フル・ターン・キー』と呼ばれる契約で、技術的課題は丸投げだったという」「東芝や日立など国産メーカーの役割が増した2号機以降の設計も、ほぼ1号機を踏襲。津波など日米の自然災害の違いをふまえて見直す余裕はなかった。旧通産省の元幹部は『米側の仕様書通りに造らないと安全を保証しないと言われ、言われるままに造った』と振り返る」(朝日新聞、2011年6月11日付夕刊)。(12-13頁) 非常用発電機を地下に設置し、 地震と津波で全電源喪失という異常事態を招いたのは、 結局はアメリカの言うとおりにしていたからだったのである。 どこが日本の原発技術は世界一なのだろうか? 日本の保守派というのは、原発のことは考えても、 日本人の生命のことは微塵も…

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日本の茶番劇

NHKが次のニュースを伝えている。 集団的自衛権をめぐる連日話題の話題である。 集団的自衛権 今週ヤマ場に 集団的自衛権の行使を巡って、安倍総理大臣が設置した有識者懇談会は、今週後半、憲法解釈を変更し、行使を容認するよう求める報告書を提出することにしています。 これを受けて、安倍総理大臣は、政府としての考え方を示し、与党側に議論を加速するよう指示する見通しで、集団的自衛権を巡る動きは、今週、一つのヤマ場を迎えます。 有識者懇談会が今週後半に提出する報告書では、集団的自衛権について、憲法の下で認められる必要最小限度の自衛の措置に集団的自衛権の行使を含めないとする今の憲法解釈は適切でないなどとして、憲法解釈を変更し行使を容認すべきだと提言します。 そのうえで、行使する際の要件として、▽密接な関係にある国が攻撃されること、▽放置すれば日本の安全に重大な影響があること、▽攻撃された国から明確な支援の要請があること、▽国会の承認を得ることなど、6つを挙げます。 そして具体的な行使の事例として、▽近隣での有事の際にアメリカの艦船を防護することや、▽シーレーン=海上交通路での国際的な機雷の掃海活動に参加することなどが盛り込まれます。 また、国連のPKO活動や集団安全保障について、▽PKO活動に参加するほかの国の部隊が攻撃を受けた場合に、自衛隊が武器を使って救援できるようにする、いわゆる「駆け付け警護」を認めるべきだとするほか、▽国連決議に基づく多国籍軍などの集団安全保障措置への後…

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斎藤貴男『民意のつくられかた』(岩波書店)

斎藤貴男の本は、わたしの問題意識といつも重なる。 今回は、3つのテーマについて短く紹介していく。 ① 原発 ② オリンピック招致 ③ 捕鯨 どれも多くの日本人がまんまと騙されてきたテーマである。   ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ ① 原発 原発を50基以上もつくってしまった愚かな日本人。 結局のところ、日本は後進国だったということだ。  「原子力政策というのは、民主主義の熟度を計る素材なのだと思います。国民的な合意がなければ円滑には進まない。だからこそ、たとえばヨーロッパの多くの国では、国会の議決や国民投票などで決められている。しかるにわが国における原子力の長期計画は原子力委員会に設置された、事業者自身をはじめ原子力ムラの人々が大半を占める策定会議で決定され、閣議報告がなされるだけです。そもそもエネルギー政策基本法に盛り込まれることもなく、したがって国会議員さえタッチできない領域になってしまっているんです。……」(12頁) これは佐藤栄佐久(元福島県知事)の発言である。 この国には原発で甘い汁を吸ってきた関係者たちがいる。 原子力マフィアの面々だ。 彼らは、原発に反対するひとたちをどう見ていたのだろうか?  反核派には、大きく分けて二つのグループがあります。ひとつは、反核を旗印にかかげた“隠れ左翼集団”です。「プロ市民」と呼ばれる一般市民を装った左翼活動家や、市民活動で利権を得る人物が活動しています…

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『マン・オブ・スティール』★★☆☆☆

タイトルからは分かりにくいが、スーパーマンのお話である。 スーパーマンが生れて地球にやってくるお話。 つい先日の記事で、ダイアン・レインを久しぶりに見たと書いたが、 この作品にもスーパーマンの育ての母親役で登場する。 久しぶりに会ったダイアンにまた会った、みたいな感じ。 これを観ていて思ったのは、 本当ならスーパーマンには謎があるはずだった、ということだ。 クリプトン星からやってきたスーパーマンは、 どうして地球人の味方になってクリプトン星人と戦うのか? 同胞意識よりも別の星への共感が彼の中で優先されたのはなぜか? ところがこの作品ではこの謎を解いてくれない。 この問題にきちんと向き合ってくれていれば、 ナショナリズム批判としてのスーパーマンという、 きわめて興味深い作品になったはずなのである。 クリストファー・ノーランが製作と原案に参加しているが、 別に大したことはなかった、という結論である。 CG映像はすごい。 あと、スーパーマンの胸の「S」はスーパーマンの「S」だと思っていたら、 そうではなかったということが作中で明かされる。 これはびっくり。 ケヴィン・コスナーやラッセル・クロウも出演している。 原題 MAN OF STEEL (監督ザック・スナイダー/2013年アメリカ)

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白井聡『永続敗戦論』(太田出版)③

アジア諸国には傲慢で、アメリカには従順。 それが日本の、いつでも繰り返される、あられもない姿である。 対米従属を深めながら、「日米同盟」などと、 まるで対等な関係であるかのような幻想をふりまいている。 非核三原則と言いながら、米軍の核兵器持ち込みを黙認している。 日本に米国の核兵器は存在しないなどと誰も本気で信じていないにもかかわらず、日本はノーベル平和賞に値する原則を国是としている。同様に、日本が米国の属国にほかならないことを誰もが知りながら、政治家たちは日米の政治的関係は対等である(少なくとも対等なものに近づきつつある)と口先では言う。このことは、一種の精神的ストレスをもたらす。一方で「我が国は立派な主権国家である」と言われながら、それは真っ赤な嘘であることを無意識の水準では熟知しているからである。領土問題に典型的に現れるように、対アジア関係となると「我が国の主権に対する侵害」という観念が異常なる昂奮を惹起するのはこの精神構造ゆえである。無意識の領域に堆積した不満はアジアに対してぶちまけられる。言うなれば、それは「主権の欲求不満」の解消である。(139-140頁) つまりこうだ。 領土問題で日本人が異常に昂奮しているのは、 おのれの欲求不満を解消しているからだったのだ。 領土問題だけではない。 安倍晋三が、「河野談話の見直し」で欲求不満の解消をもくろむ。 維新の会やカルト教団「幸福の科学」もそれにつづく。 ところがアジア諸国から批…

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白井聡『永続敗戦論』(太田出版)②

日本は現在、3つの領土問題を抱えている。 尖閣諸島、竹島、北方領土である。  ……領土問題となると人々は日ごろ見向きもしなかった古地図やら古文書やらに突如として群がり、自国の主張にとって好都合な証拠を血眼になって探し始める。(12-13頁) 尖閣問題が騒がしくなったころ、 わたしもある大手書店でこんな光景を目撃した。 高齢男性が女性店員に向かって、 「尖閣が載っている古い海図を出しなさい、早く!」と、 とても横柄な態度で怒鳴っていたのだ。 女性店員に向かって「尖閣諸島を知らないのか!」とも言っていた。 この老人も尖閣問題が日本固有の領土である「証拠」を求めていたのだろう。 なんとも醜い日本人の姿であるが、 こういう日本人男性は驚くほど多いのではないだろうか? 日本の報道も、すべて日本政府の立場を擁護するものばかりだった。 池上彰とて例外ではなかった。 しかし、日本人が決定的に見落としている点がある。 日本社会の大半の人間が見落としているのは、3つの領土問題のいずれもが第二次世界大戦後の戦後処理に関わっている、つまりこの戦争に日本が敗北したことの後始末である、という第三者的に見れば当然の事情である。(53頁) ところが当の日本人は「敗戦」を「否認」している。 日本人は戦争に負けたことを認めていない。 「敗戦」ではなく「終戦」だったと自分たちに言い聞かせてきた。 ゆえに、この問題を解決する能力を根本的に持…

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白井聡『永続敗戦論』(太田出版)①

もしまだ本書を読んでいないのなら、ただちに書店へ行くべきだ。 そして本書を購入し、とにかく貪り読むべきである。 さらに周囲のまだ読んでいないひとをも巻き込むべきである。 久米宏もこの本を読んで感激したらしい。 著者の白井聡は若手の研究者であり、 当ブログでも以前紹介した『未完のレーニン』の著者である。 *白井聡『未完のレーニン』(講談社選書メチエ) とにかく本書を読むべきである。   ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ 本書は、福島第一原発事故から議論をはじめる。 事故後、大江健三郎は中野重治の言葉を引いてこう言った。 「私らは侮辱のなかに生きている」 どういうことか? たとえば「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」。 事故後の放射能の拡散を予測するシステムである。 このスーパーコンピュータの開発には、 30年以上の歳月と、 100億円以上の費用が投じられ、 維持運営に年7億円の税金が費やされてきた。 福島第一原発事故のときもこのシステムは動いていた。 にもかかわらず、日本政府はこのデータを公表しなかった。 私たち国民に対して隠したのだ。 そのせいでせっかく原発から遠くへ避難しようとしたのに かえって放射能汚染の高い方角へ避難してしまった人たちがいたのだ。 ところが、日本政府はこのデータを米国には提供していたのである。 私たちは政府によって侮辱…

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『おくりびと』★★★☆☆

チェロ奏者の主人公は、突然オーケストラの職を失った。 これをきっかけに妻を連れて故郷の山形へ帰ることにしたのだが、 そこで好条件の求人広告を見つけた。 面接に行ってみると、それは「納棺」の仕事だった。 だが主人公は、自分が納棺師になったことを妻に言えずにいた。 意外におもしろかった。 泣いてしまった、困ったことに。 2008年アメリカのアカデミー賞外国語映画賞を受賞。 そういえば、ずいぶん前のことだけど、 余貴美子さんといっしょにちょっとだけ飲んだことがあったなあ、 なんてことをこの映画を観たあとに思い出した。 出演 本木雅弘・広末涼子・山崎努・余貴美子ほか (監督滝田洋二郎/2008年日本)

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BIGLOBEへのお願い

気分転換に当ブログのトップページを変更してみた。 別にこれが気に入ったのではない。 以前からずっと思っていたのだけど、 BIGLOBEのこのウェブリブログはデザインプレートがよくない。 センスがまるで良くないのだ。 何年前の感覚で用意されているのだろうか? まあBIGLOBEに限ったことではないのだが、 総じて日本のブログ作成サイトのデザインはダサい。 アメーバブログなんて、画面がごちゃごちゃして、見る気がしない。 Yahoo!もGoogleのブログもはてなもダサい。 なんとかしてほしい。 ウェブリブログのダメな点を列挙してみる。 ・ ページの横幅が狭い。 ・ 月のカレンダー表示が見にくい。 ・ フォントがダサい。 ・ テンプレートの新作がしばらく出ていない(やる気がないのか?)。 ・ スマートフォン版でブログを見ると活字のバランスが悪くなる。 ・ 編集ページのデザインもひと昔前のデザインである。 技能があれば自分好みのブログをつくるのだが、 素人のわたしにはそれもできない。 そのために、いつもモヤモヤした気持ちでこおブログを書いている。 頼む、なんとかしてください。

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「調査報告 女性たちの貧困~“新たな連鎖”の衝撃」を見て

2014年4月27日(日)の夜、NHKスペシャルを見た。 「調査報告 女性たちの貧困」の内容は、たしかに衝撃的だった。 ネットカフェで暮らす10代の姉妹が紹介されるのだが、 10代の若い女性が姉妹でネットカフェ暮らしというのにも驚くが、 なんとその母親も同じネットカフェに暮らしているという。 そのほかにも番組では、 早朝5:00から働きながら学費をためる若い女性の姿も伝えていた。 この番組を見た視聴者はみな驚いたにちがいない。 こうした隠された現実の一面を報道するのは、 メディアの重要な役割のひとつである。 NHKには今後もこうした貴重な仕事をつづけてもらいたい。 と、素直に応援したいところなのだが、そうはいかない。 この番組を見たわたしは、同時に苛立ちも覚えたからである。 わたしの苛立ちは何もわたしひとりだけの独自性ではない。 似たような感想を持ったひとはほかにもいたようだ。 このことについては、以下のブログが分かりやすく書いてくれているので、 それをご覧いただきたい。 ★騰奔静想~司法書士とくたけさとこの「つれづれ日記」参照 わたしも「とくたけさとこ」さんのご意見に賛成である。   ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ 子どものころ、よく親からこう言われなかっただろうか? 「食べ物を粗末にするんじゃないよ、アフリカには満足に食べられない子どもたちがたくさんいるんだから」 「アフリカの子ども…

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自称リアリストは本当にリアリストか?

自称リアリストが好んで使うフレーズがある。 「現実はそんなに甘くない」である。 武力を持たずに平和を願うのは理想かもしれないが、 「現実はそんなに甘くない」。 原発をなくすのは理想かもしれないが、 「現実はそんなに甘くない」。 反原発・即時脱原発は現実離れした理想論にすぎない、と彼らは言う。 憲法第9条も現実離れした観念論にすぎない、と彼らは言う。 最近では「現実離れした理想論者」に対して、 「頭のなかがお花畑」などと揶揄するのが日本の流行になっているらしい。   ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ 2007年に山田太郎の筆名による文章が、あるミニコミ誌に掲載された。 この人物はじつは東芝OBで、 福島第一原発をはじめとする原発の設計を手がけた人物だった。 このひとの文章がとてもおもしろいので、 前回につづき斎藤貴男『「東京電力」研究』(講談社)から孫引きしよう。  この頃、新聞やテレビをはじめとするマスメディアでは、「憲法改正すべきか否か」あるいは「第9条は今のままでいいか否か」などという議論でにぎやかである。  実は、このような憲法論議に、私たちの国に原子力発電所(以下、原発)があることが大いに関係しているのだが、その点に触れた議論をほとんど聞いた記憶がない。(29頁) ほとんどのひとが9条改憲と原発は別々の問題だと思っている。 だが、本当はそうではない。  まず、一番先に知っておいてほしいことは、…

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『トスカーナの休日』★★☆☆☆

主人公の女性作家が離婚した。 夫の浮気が原因だった。 傷心旅行でイタリアのフィレンツェ・トスカーナ地方へ行くと、 ある古びた1軒の売家と運命的な出会いをし、 衝動的にこの家を買うことを決意した。 やがて主人公は、ポーランドからの移民労働者、 地域のひとびととのつながりのなかで、 ここで生きていくことを決意する、という物語。 脚本があまりよくないと思うのだが、 まあ暇で時間があるひとは観てもいいかもしれない。 のんびり観ることができるから。 つまらない作品ではないし、イライラさせられることもない。 それにしてもダイアン・レインって久しぶりに見たなあ。 主演 ダイアン・レイン 原題 UNDER THE TUSCAN SUN (監督オードリー・ウェルズ/2003年アメリカ)

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日本的思想改造

「日本は自由の国だ」と寝言を言うひとがいる。 「日本は先進国だ」と思い込んでいるひとがいる。 だから書いておく。   ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ 日本の原発政策の戦犯は、何人もいる。 極悪人がたくさんいる。 そのなかのひとりに平岩外四がいるのは言うまでもなかろう。 東京電力で社長・会長を歴任し、経団連会長も務めた人物だ。 平岩体制のもと、労働者はあの手この手で経営側に取り込まれ、 労務管理が徹底されていたという。 従順になった労働者は「民社党」への投票を命じられたというが、 そればかりでなく「富士政治大学」に送り込まれたのだという。 「富士政治大学校」とはいったい何なのだろうか? 以下の引用はすべて斎藤貴男『「東京電力」研究』(講談社)からである。  富士政治大学校とは、1969年に設立された同盟および民社党系の研修機関である。富士山を望む静岡県御殿場市内に立地して、労働組合員や党員たちを教育、養成してきた。(304頁) ここではどのような研修が行なわれていたのだろうか? あるジャーナリストがかつて体験取材したというので、 その驚くべき内容を見てみよう。 このジャーナリストが参加したのは、 「全日本郵政労働組合」(全郵政)のグループだったそうだが、 「全郵政」とは労使協調路線の労組だった。  参加していたのは76人の全郵政組合員だ。20代前半の男性が大半だったが、女性も4人いた。初日は…

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國分功一郎『来るべき民主主義』(幻冬舎新書)

話題の本である。 内容はそれほど深くはないけれども、 逆に初心者には問題の本質が掴みやすいものになっている。   ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ 問題の出発点は、「都道328号問題」である。 小平市に新たに都道を建設しようという問題である。  道路は鷹の台駅付近を南北に貫くように設計されている。多くの人が暮らす住宅地と、……雑木林、玉川上水を貫通する。200世帯以上が立ち退きを強いられる。480本の樹木が切られる。総工費は200億円をくだらないと推定されている。そのお金の8割近くが立ち退きのための費用になるという。また工費の半分は国から支給される。財政赤字で苦しむ国庫からの支出である。(36-37頁) 財政は厳しいというのにわざわざ大きな道路をつくろうとする。 しかも貴重な自然を破壊して。 そこで地元住民が反対運動を立ち上げた。 著者の國分功一郎もその反対運動に参加した。   ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ ところで、なぜ東京都は道路を建設したいのだろうか? 東京都の言い分は「渋滞緩和」である。 近くの道路が混雑しているので、 新たに都道をつくることで渋滞を緩和させようというのだ。 ところがである。 そもそもこの計画は1963年(昭和38年)に策定されたものだった。 いまから50年以上も前のことである。 そのときと現在では、状況はまったく変わっている。 日本の人口はどんどん減少してい…

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自虐史観(笑)

しばらく前のニュースだが、アメリカでこんなことがあった。 日系人強制収容に抵抗したF・コレマツ氏、米国立美術館に肖像展示 【2月3日 AFP】第2次世界大戦中、米政府による日系人の強制収容に抵抗し、米最高裁まで争った日系人男性、故フレッド・コレマツ(Fred Korematsu)さんの肖像写真が2日、米史上重大な貢献をした人物の肖像を展示・収蔵するワシントンD.C.(Washington D.C.)の国立肖像画美術館(National Portrait Gallery)に加わった。  コレマツさんの肖像写真2枚が展示されたのは「正義のための戦い」と題された常設展示室。アジア系米国人の肖像が同美術館に収蔵されるのは初めてだ。  カリフォルニア(California)州オークランド(Oakland)に住む溶接工だったコレマツさんは第2次世界大戦中の1942年、当時のフランクリン・ルーズベルト(Franklin D. Roosevelt)大統領が日系人の強制収容を命じた大統領令に従うことを拒否し、逮捕された。この大統領令で強制収容された日系人は最大12万人に上る。  コレマツさんは逮捕後も大統領令に異議を申し立て、米連邦最高裁まで争った。しかし最高裁は、米国の参戦はハワイ(Hawaii)の真珠湾(Pearl Harbor)への日本の奇襲攻撃によって招かれたものであり、日系人の強制収容は正当化されると判断、小松さんの訴えを認めなかった。  その後、83年にコレマツさんの…

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