日本の排他主義と人種差別

これだけ露骨に人権侵害をする先進国もめずらしいのではないか。

これが重大な人権侵害であるということを、
ほとんどのひとが認識していない先進国というのも、
めずらしいのではないか。

カルデロンさんご一家の事件のことである。

親子で一緒に暮らす願いはかなわず、両親は娘を置いていく決断をした。一家そろっての在留特別許可が認められなかった埼玉県蕨市のフィリピン人、カルデロン・アランさん(36)一家が13日、日本で生まれ育った中学1年生の長女のり子さん(13)を残し、両親は帰国する意思を東京入国管理局に伝えた。

 収容されていたアランさんも釈放され、一家は東京・霞が関の司法記者クラブで会見。アランさんは「残念だが、みなさんのおかげでここまで来られた。本当にありがとう」と感謝の気持ちを述べた。のり子さんは「家族3人で日本にいたかったので、うれしい気持ちはありません。でも、日本で勉強を続けたい」と目に涙を浮かべた。

 アランさんと妻のサラさん(38)はのり子さんの2年生の始業式に出席し、4月13日に帰国する。のり子さんには3月中にも在留特別許可が出る見通しだ。今後はサラさんの妹が蕨市に引っ越し、監護者となる予定。

 帰国した両親は再入国が5年間禁じられるが、森法相は1年ほど過ぎれば、親子面会のためであれば特別に入国を認める姿勢を示している。

 森法相は「今回の結論は、長女の希望を最大限考慮して、総合的に判断したものだ。今後、長女が近親や周囲の方々に温かく見守られ、安定した生活を送ることを期待しています」とのコメントを発表した。

(『朝日新聞WEBサイト』より)

子どもの残留だけは認めるが、
両親はフィリピンに帰国しなければならないのだという。

家族や支援者たちの必死の願いも、政府はふみにじった。

 不法滞在のため強制退去処分を受けた埼玉県蕨市のフィリピン人カルデロンさん夫婦が十三日、帰国する。日本生まれの長女のり子さん(13)は同日朝、両親の最後の見送りを受けて中学校へ通学。その後早退して、両親とともに成田空港に向かった。

 中学校から午前十一時前に帰宅したのり子さんは正午すぎ、父親のアランさん(36)と母親のサラさん(38)と一緒に自宅を出た。三人とも泣きはらし、のり子さんとサラさんはハンカチを握りしめていた。自宅前でアランさんは同僚と抱き合い、「ありがとう」。アランさんは前夜、のり子さんに「頑張って」と励ましたといい、JR西川口駅に向かう道の途中で「地域の皆さんが応援してくれて感謝しています」と話した。

 前日の十二日昼にはのり子さんと両親はJR蕨駅前で、これまで支援をしてくれた市民に感謝するカード約六百枚を配った。

 パソコンで手作りしたカードには「たくさんのご協力ありがとうございます」などと書かれ、裏面は、のり子さんが中学校の校庭で一人で泣いているイラスト入り。支援者ら数人と駅前に立ったのり子さんは「両親と離れる寂しさを表現したが、蕨や全国の人の支援があったからここまで来られた。心からの感謝を伝えたい」と話し、一人一人に深々とおじぎして手渡した。

 アランさんも「一番つらい時に日本人の皆さんが支えてくれた」と握手して回り、市民から励ましの言葉も掛けられた。

 アランさんとサラさんは他人名義のパスポートで来日、一九九五年にのり子さんを出産した。二〇〇六年に一家の不法滞在が発覚し、強制退去処分を受け、昨年九月に最高裁で処分が確定した。

 三人での特別在留許可を求めていたが、東京入国管理局は今年三月、のり子さんだけに許可を決定。両親の仮放免が四月十四日まで延長されていた。

(『東京新聞WEBサイト』より)

カルデロンさんご夫妻の強制退去処分は、あきらかに人権侵害である。

そして、日本政府の対応は、国際法違反である。

「子どもの権利条約」には次のような条文がある。

第9条 締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。このような決定は、父母が児童を虐待し若しくは放置する場合又は父母が別居しており児童の居住地を決定しなければならない場合のような特定の場合において必要となることがある。


父母の意思に反して子どもを引き離してはいけないのである。

例外的に許されるのは、親による虐待などがあって、
同居することが子どもの利益に反する場合のみ、である。

両親だけが帰国させらると子どもがかわいそうだ、というだけではない。

強制退去は人権侵害だという点が重要である。

これに対して、アムネスティ・インターナショナルも日本政府を批判している。

アムネスティは本日、日本政府に対して、アラン・カルデロンとサラ・カルデロンの夫妻が、13歳になる娘ノリコ・カルデロンと共に日本に残れるよう、2人に対する退去強制手続きを停止するよう求めた。

ノリコ・カルデロンは、日本で生まれ日本語しか話せない。彼女は法務省から、両親と共にフィリピンに帰るか、日本に残るために在留特別許可を申請するかのどちらかを選択しなければならない、と命じられた。しかし、政府は両親に対して、彼らが非正規滞在であることを理由に退去強制を行おうとしている。ノリコは、日本に残りたいという意思を公式に表明している。

「日本は、あらゆる政策において、子どもの利益を最優先に考慮する国際的な義務を遵守しなければならない。ノリコの両親に対する退去強制は、明らかに彼女の最善の利益に反するものである」と、アムネスティのアジア太平洋部副部長ロジーン・ライフは述べた。

日本も締約国である子どもの権利条約では、第9条において「締約国は、子どもがその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が子どもの最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない」と規定している。

日本は、同規定について、出入国管理法に基づく退去強制の結果として子どもが父母から分離される場合に適用されるものではない、との解釈宣言を行い、この義務を免れようとしている。

アムネスティは、この解釈は受け入れられないものであると考える。「子どもの利益を最優先とする原則は、子どもの権利条約の中核であり、絶対に拒否できないものである。私たちは日本に対し、国際的な義務に従い、人間としての良識と基本的な人道の観点に基づき、この家族が一緒に日本で暮らすことを認めるよう要求する」と、ロジーン・ライフは述べた。

背景:
子どもの権利委員会は、2004年に発表した日本に対する最終所見の中で、「国内法制度が条約の原則及び規定を十分に反映していないこと」について懸念を表明し、日本の法制度が移住労働者の子どもを差別していると指摘した。

*この件に関するアムネスティ日本支部の声明(2009年2月27日付)はこちらからご覧いただけます。

アムネスティ発表国際ニュース
AI Index:ASA 22/004/2009
2009年3月5日


次の抗議声明も読んでいただきたい。

アムネスティ・インターナショナル日本は、在留資格のない子どもとその家族に対する退去強制に関して、2月27日付けで以下の書簡を森英介法務大臣に送付しました。

法務大臣 森 英介 殿

拝啓 貴下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
アムネスティ・インターナショナル日本は、日本政府に対し、在留資格のない子どもとその家族に対する退去強制に関して、国連子どもの権利条約に対して政府が行った解釈宣言を速やかに撤回し、関連する国際人権基準を遵守するよう要請いたします。

2月27日、東京入国管理局は、フィリピン国籍のカルデロンさん一家に対して、一家で帰国するか、娘のカルデロン・のり子さんだけが日本に残るのかを3月9日までに決めなければ、3人を入管施設に収容して退去強制手続きに入ると通達したと伺っております。

これまで、日本の教育機関で学んでいた多くの子どもたちが在留資格を問われ、退去強制処分を受けてきました。今回のカルデロンさん一家のケースのように、父母との分離を要求される事例も繰り返されております。このような状況は、日本政府が批准している国際人権基準に明白に違反するものであります。

特に「子どもの権利に関する条約」では、「子どもに関するすべての措置をとるに当たっては子どもの最善の利益が主として考慮される」(3条1項)、および「子どもがその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する」(9条1項)等の義務を締約国に課しております。

日本政府は9条1項について、「出入国管理法に基づく退去強制の結果として児童が父母から分離される場合に適用されるものではない」との解釈を宣言しています。しかし、このような解釈は、「子どもの利益の優先」を規定する同条約の趣旨と両立しえないものであり、今回の事案のような、就学中の子どもに対する退去強制や父母からの分離を正当化することはできません。

そもそも、日本政府の解釈宣言については、国連子どもの権利委員会が、1998年および2004年の日本政府報告書審査の際に発表した最終所見の中で、二度にわたってその撤回を日本政府に明確に求めております。

アムネスティ日本は、日本政府が子どもの権利委員会の勧告を受け入れ、速やかにこの解釈宣言を撤回すること、そして出入国管理における在留資格の認定や退去強制手続きにあたって、子どもの権利条約に明記された義務を誠実に遵守するよう要請いたします。今回の事案に関しましても、これらの点を踏まえ、子どもの権利を最優先に考えた対応を取られるよう、謹んで要請いたします。

敬具

2009年2月27日

社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
事務局長 寺中 誠


このような人権侵害を平然と行なう日本である。

オリンピックを開催する資格はない。

しかも怖ろしいことに、
在日外国人の退去を求める排外主義が日本人のなかから出はじめているらしい。

彼らは、カルデロンさんご一家の支援をするひとたちのことを、
「反日左翼」と呼んでいるらしい。

出ましたね、恥知らずな「自称愛国主義者」たちですよ。

露骨な人種差別。

日本でもネオ・ナチのような動きが表面化してきたということだ。

もし在日外国人の退去を求めるなら、
まずは海外に滞在するすべての日本人の強制収容を主張すべきであろう。

筋が通らないではないか。

日本人は外国で自由に暮らす権利があるが、
外国人には日本に暮らす権利を認めないとでも言うのか?

こういう愚かな日本人が存在していることが、恥ずかしい。





この記事へのコメント

  • 馬鹿か

    いやいやどっちが自称愛国主義者だwww
    よく考えてみなさい
    国益とはなんですか?
    この国は誰のものですか?
    あなたの先祖は昔からそうなのですか?
    あなたは何人です?
    あなたこそ祖国の郷土や民族を愛せぬ自称愛国主義者の愚か者だ。
    2009年04月25日 22:03
  • 阿呆か

    「馬鹿か」さんって、国益なんてものがあると思ってるのか?
    2009年04月25日 23:36
  • サブシルマ

    「祖国」「郷土」「民族」
    自称愛国主義者がよく使う単語ですね。

    「あなたの先祖は昔からそうなのですか?」のところ笑えます。。
    2009年04月26日 17:55
  • 影丸

    ◆馬鹿かさま

    おう、いい加減調子に乗るんじゃねえぞ、このクソガキよ。

    と下品な返事をするのはやめました。よく考えてみました。お答えいたしましょう。理解できるかな?

    「国益とはなんですか?」
    →そんなものは「幻想」です。

    「この国は誰のものですか?」
    →少なくともあなたのものではありません。

    「あなたの先祖は昔からそうなのですか?」
    →まったく意味不明です。わたしの先祖が昔からアムネスティに共感していたか、という意味ですか? わたしの先祖が昔から人権思想を重視していたか、という意味ですか? あいにく先祖とは面識がないので、どういうひとたちだったのか知りません。だいたいそんな昔にアムネスティも人権思想も「日本」という国も存在していなかったのでねえ。ご存知ありませんか?

    「あなたは何人です?」
    →東京人ですが、そういう質問は誰に対してでも失礼ですよ。
    2009年05月03日 19:24
  • 影丸

    ◆馬鹿かさま

    「あなたこそ祖国の郷土や民族を愛せぬ自称愛国主義者の愚か者だ」
    →頭、大丈夫ですか? わたしは愛国主義者を名乗ったことは一度もないので、「自称愛国主義者」ではないのですよ。どういう読解力をしているのだろう。そういうものすごく低い知性を露呈するのは日本の「恥」ですよ。「国益」に反する行為ですよ。

    ただ、「馬鹿か」さまには深く感謝申し上げたい。排他主義者がどのようなひとたちなのかということが、このブログの読者にもよく分かったと思いますから。またコメントくださいね。本当ですよ。
    2009年05月03日 19:26
  • 影丸

    ◆阿呆かさま

    コメントありがとうございます。鋭いご指摘ですね。まさしくそのとおりで、「国益」などというものは存在しません。ちょっと考えれば分かりそうなものですけどね。メディアや政治家が「国益、国益」などと言っているので、「馬鹿か」さんはそういうものがあるとついつい思い込んでしまったのですね。

    わたしの知人で超高学歴の国際政治研究者が、「日本の国益」と言っているのを聞いて、腰が抜けるほど驚いたことがありますが、そういうひとでも「国益」があると錯覚しているのですから、まあ仕方のないことかもしれません。そこがナショナリズムの怖ろしいところでしょう。
    2009年05月03日 19:32
  • 影丸

    ◆サブシルマさま

    コメントありがとうございます。じつは、わたしもまったく同じところで大笑いしてしまいました。世のなかにはおもしろいひとがいるものですね。
    2009年05月03日 19:34
  • 影丸

    ◆馬鹿かさま

    最後にひとつ、あなたにうかがいたいのです。こういうコメントをくださるあなたの精神構造にじつはとても興味があるのですが、それはおいておくとして、日本は、かつて貧しかったころ、移民の送り出し国だったことをご存知ですか? 日本には仕事もなく、ひとびとの生活も苦しかった。だから少なくない日本人が海外に移住したのです。そして、多くの国々のひとびとが日系移民を受け入れてくれたのです。日本人同士で結婚したひともいれば、現地のひとと結婚したひともいました。そして、必死に生きていったのです。日本政府にだまされて海外の「不毛の地」に送り出された日本人までいたのです。そのことをどう思いますか? わたしに「よく考えてみなさい」とおっしゃるなら、このことについてどう考えるのか、ぜひ聞かせてください。
    2009年05月03日 19:43
  • 性愛王ナギ

    移民と密入国を同レベルに扱うのは正直どうかと…
    2009年05月17日 02:20
  • 影丸

    はじめまして。

    そうお思いですか? わたしはまったくそうは思いません。あなたは、経済構造が生みだす必然的な現象と暴力装置が統治手段として用いる法という2つのレベルを混同していらっしゃるのでしょう。コメントはうれしいですが、批判的コメントをくださるなら、下らないハンドル・ネームを反省して、ちゃんとどうしてそう考えるのかを述べてください。
    2009年05月18日 14:51
  • 冷静になりましょう

    正式な移民ならともかく、不法滞在者を擁護するのは間違っていると思います。そして、不法入国を政府が許すことは法治国家としてありえないことです。そして、不法入国を許すことは正式に移民をしてきた人たちに対して失礼だと思います。
    また、政府が親子を引き離したというのは解釈が間違っていると思います。彼らは親子共に帰国する術が与えられていたのではないですか?
    2010年12月20日 18:40
  • 影丸

    ◆冷静になりましょうさま

    コメントありがとうございます。お返事がすっかり遅くなってしまって失礼いたしました。上のわたしのコメントをよく読んでくださいよ。……ったく。あなたは、人権など不要だ、と言いたいようですね。あなたの言う「冷静に」とは、「冷静に暴力をふるう」ということですね。ひとの命というものを何だと思っているのか! と憤りを感じます。将棋のコマではないのですよ。
    2011年03月18日 02:57
  • ボケか

    法を犯した人間を法で裁けば人権侵害か?
    お前一回何処でもいいから他の先進国へ不法入国して人権を盾に「人の命というものを何だと思っているのか!」って言ってみろよ(笑)

    抽象的なことばかり述べて説得力の欠片も無い上に
    自分の考えが絶対的に正しいと信じてやまない勘違い人間ほど
    足を引っ張るからタチが悪い

    排他主義ってのは、既に自分の中では結論ありきで
    人の意見をロクに聞かないお前みたいな連中の事をいうんだよ
    2011年07月18日 01:52
  • 影丸

    ◆ボケかさま

    またおかしなコメントをいただいてしまったようです。わたしがいつの間にか排外主義者にされてしまったのですから。あなたの理屈で言えば、ネルソン・マンデラを刑務所に入れた南ア政府は人権侵害をしていなかったことになりますね。法が人権を侵害することも大いにある、という基礎的な事実さえご存知ないあなたのようなひとが排外主義を煽っている。このことがあなたのコメントからもよく分かりました。カルデロンさんというのは「抽象的」な存在ではありません。命をもった具体的・個別的な人間です。法学を若者に教えるための貴重な資料としてあなたのコメントを活用させていただきます。ありがとうございます。
    2012年07月19日 10:22

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