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zoom RSS 國分功一郎『来るべき民主主義』(幻冬舎新書)

<<   作成日時 : 2014/04/30 15:46   >>

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話題の本である。

内容はそれほど深くはないけれども、
逆に初心者には問題の本質が掴みやすいものになっている。


  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


問題の出発点は、「都道328号問題」である。

小平市に新たに都道を建設しようという問題である。

 道路は鷹の台駅付近を南北に貫くように設計されている。多くの人が暮らす住宅地と、……雑木林、玉川上水を貫通する。200世帯以上が立ち退きを強いられる。480本の樹木が切られる。総工費は200億円をくだらないと推定されている。そのお金の8割近くが立ち退きのための費用になるという。また工費の半分は国から支給される。財政赤字で苦しむ国庫からの支出である。(36−37頁)


財政は厳しいというのにわざわざ大きな道路をつくろうとする。
しかも貴重な自然を破壊して。

そこで地元住民が反対運動を立ち上げた。

著者の國分功一郎もその反対運動に参加した。


  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


ところで、なぜ東京都は道路を建設したいのだろうか?

東京都の言い分は「渋滞緩和」である。

近くの道路が混雑しているので、
新たに都道をつくることで渋滞を緩和させようというのだ。

ところがである。

そもそもこの計画は1963年(昭和38年)に策定されたものだった。

いまから50年以上も前のことである。

そのときと現在では、状況はまったく変わっている。

日本の人口はどんどん減少していくことが確実であり、
高度成長期と異なり自動車の数もこれから減ることが予想されている。

それなのにまだ道路計画を強引に実現しようというのだ。

 つまり東京都は、「府中街道の渋滞をどうにかしたい!」と心から願っていて、「だから328号線を作らせてほしい!」と考えているのではない。328号線を作る計画があるから、府中街道の渋滞を口実に持ち出してきたのであり、328号線を作る計画があるから、府中街道の渋滞がなくならないのである。(41頁)


詳細は本書を手にとって確認してほしいが、
ここに見られるのは典型的な日本の公共事業の問題であった。


  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


日本人は、「日本は民主主義の国である」と信じている。

おめでたい人たちである。

「中国や北朝鮮とちがって日本は民主主義の国だ」と盲信している。

愚かな人たちである。

彼らは決まってこう言う。

「日本には民主的な選挙がある」と。

 主権者たる私たちが実際に行っているのは、数年に一度、議会に代議士を送り込むことである。つまり「民主主義」といっても、私たちに許されているのは、概ね、選挙を介して議会に関わることだけである。(11頁)


これは政治学の基本中の基本なのだが、
そもそも「選挙」は「民主主義」の産物ではなく、
むしろ「貴族制」の産物である。

これはアリストテレスも言っていたことである。

それはともかくとして、
数年に一度政治家を選ぶ投票ができるというだけで、
なにが民主主義なのだろうか?

日本人のこうした誤りの原因は近代の政治哲学にある、と著者は言う。

近代の政治哲学は、主権を立法権として定義し、立法権こそが統治に関わるすべての物事を決定する権力であると考えてきた。だから民主主義に関しても、どんなに不十分であれ、民衆が立法権にさえ関わっていれば、その政治体制は民主主義であるという理屈がまかり通ってしまう。(16頁)


だから立法府に議員を送り出す選挙に参加できれば、
それだけで自分の国は民主主義だと信じることができるのだ。

 私たちは、行政の決定プロセスにほとんど関わることができない。行政の決定プロセスに関わる権利は保証〔ママ〕されていない。(36頁)


住民に直接関わる問題なのに、
住民が政策決定に関わることができない。

住民抜きで勝手に政策がつくられ、実行されてしまうのが日本なのだ。

三里塚闘争でもそうだった。

これのどこが民主主義なのだろうか?

日本はまったく民主主義の国などではない。

日本人には民主主義をまじめに考えた歴史もない。

おとなりの国々を嗤う資格は私たちにはない。









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