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zoom RSS 重信メイ『「アラブの春」の正体』(角川oneテーマ21)

<<   作成日時 : 2014/01/03 11:18   >>

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「アラブの春」とは何だったのか?

中東情勢に関する日本の報道は、何の参考にもならない。

 ……日本のメディアの報道は、アラブについて、情報が偏っているか、少ないか、わかりづらいかのいずれかです。(4頁)


これは日本人の意識の反映でもある。


  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


情報が偏っていた典型的な例は、リビアである。

カダフィの名は決まって「独裁者カダフィ」と言われた。

しかし日本人はリビアの何を知っていたのだろう?

 リビアの場合は、教育に関しては大学まで無料。医療費、電気代、水道代も無料。家やクルマを買うときのローンも国が半分援助してくれます。私が知る限り、世界でもっとも豊富な福祉国家だったと思います。しかも、スカンジナビアの国々のように高い税金を払ったうえで得られる福祉サービスではなく、石油が採れることによって実現した福祉なので、国民のふところが痛むことはありません。(90頁)


日本よりもはるかに充実した制度だが、
報道されることはほとんどなかった。

では、どうしてカダフィは権力の座から引きずり降ろされたのか?

 カダフィは2009年に、「アフリカ連合(Africa Union)」で総会議長を務めました。アフリカ連合は57の国と地域が参加している国家統合体です。
 1996年からアフリカ外交に注力していたカダフィは、アフリカ連合で「アフリカ合衆国(United States of Africa)」構想を推し進めていました。(96頁)


これは先進諸国にとっては都合のわるい事態かもしれない。

なぜならアフリカ諸国が分断されていたほうが、
影響力を及ぼしやすいからである。

 そして、その第一歩として、2010年に、金本位のディナールという地域通貨を作ることを発表しました。(97頁)


おそらくこれが決定的な引き金になった可能性がある。

イラク戦争の背景に似ているからである。

とすると、わが国も無関係とは言えない気がしてくる。

鳩山由紀夫の「東アジア共同体」構想が、
アメリカにとって望ましからぬものだったにちがいないからである。

 NATO軍が空爆した施設は、リビアに取材に行ったジャーナリストによると、国民にとって必要なインフラだったそうです。鉄道、高速道路、病院、大学……。……カダフィ政権が倒れたいま、外国資本が入ってくることを止めることはできないでしょう。(99頁)


復興という名目で外国企業がハゲタカのように集まるのだろうか?

イラクがそうだったように。


  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


逆に、アメリカとあまりに親しくしているために、
およそ「民主主義」や「人権」と無縁な国なのに、
まったく批判されない国がある。

サウジアラビアである。

サウジアラビア国内ではお酒を飲んではいけない、女性はクルマの運転をしてはいけないなどの戒律を守って暮らしていますが、実はヨーロッパではハメを外して遊んでいることがよく知られています。2010年には、ある王子が、イギリスで、酔っぱらったあげくにゲイのパートナーだったと思われる男性を殺してしまうという事件まで起こしています。
 国内では厳しい教えを国民に押しつける一方で、権力を持っている人たちは国外で自由を楽しんでいることが徐々に知られるようになりました。(151頁)


この国ではこの程度の規制はまだ序の口である。

ほとんど知られていませんが、サウジアラビアにはいまだに奴隷制度が残っています。
 ……土地と人がセットになって売られています。よくあるのは、親から遺産としてある土地を相続すると、そこに住んで働いている人たちの所有権もついてくるというケースです。……「奴隷」となっている彼らは遊牧民が多いのですが、その土地で家畜の世話などの仕事をして暮らしています。(154頁)


それだけではない。

 ……彼らは公民権を与えられていないため、教育を受けることができません。読み書きを教えられる機会がないまま大人になってしまいます。彼らには身分証明書が発行されないので、土地や車などの売買契約を結ぶことも、結婚することもできません。(155頁)


これがサウジアラビアの実情だという。

リビアはNATOに空爆された。

だが、サウジアラビアは空爆されていない。

批判もされていない。






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米国によりテロ支援国家に指定されているイランですが、確かに強姦被害女性や犯行時17歳以下であった受刑者に対する死刑執行はサウジアラビアと共通していますが、女性の車両運転は禁止されておらず、
また女性の警察官を積極的に採用している国として知られています。

イランを糾弾するなら、それより未だ奴隷制度を行っているサウジアラビアを糾弾した方がいいかと思います。
エル
2014/04/27 16:55

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