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zoom RSS 広瀬隆・明石昇二郎『原発の闇を暴く』(集英社新書)

<<   作成日時 : 2013/05/03 11:29   >>

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多くのひとはもう忘れてしまったのかもしれない。

多くのひとはもう《日常》を取り戻したのかもしれない。

原発事故はいまも続いているというのに。

誰ひとり放射能汚染の責任もとっていないのに。

 ……東電による被害者賠償は「電気料金の値上げで資金をつくって」おこなう……罪を犯した加害者が、被害者から金を集めて、被害者に賠償金を支払うとは、一体どういうことだ。(9頁)


福島の原発事故に重大な責任があるはずの安倍晋三も、
ひとびとに謝罪するどころか、
責任をとるどころか、
海外に原発を輸出するつもりらしい。

そして「日本の原発は世界一安全」などとウソをついている。

安倍晋三というひとは根っからの詐欺師なのではないか?

多くのひとが原発事故を忘却しているのは、
放射能による影響が見えないからなのか?

チェルノブイリ事故では何人が亡くなったのだろうか?

チェルノブイリ原発事故については、「この事故より、31人の死者が発生した」なんて、信じ難い数字を書いている。2009年にニューヨーク科学アカデミーから出版された報告書「チェルノブイリの惨事が人と環境に与えた結末……」によれば、チェルノブイリの死者は100万人だとされているのですよ。(106−107頁)


それに対して福島原発事故では、ひとりも死んでいない。

そう言われることがある。

だが本当にそうなのだろうか?

 4月26日の「毎日新聞」によれば、福島第一原発の南西約40キロにある双葉病院(福島県大熊町)の患者と近くの介護老人保健施設の入所者、45人が避難中や避難後に死亡したのだそうです。また、5月7日の「朝日新聞」は、周辺市町村の話として、避難後に死亡した高齢者らは少なくとも60人以上にのぼると伝えています。(18頁)


じつは原発作業員も何人か亡くなっている。

しかし東京電力は放射能によるものとは認めていない。

 1994年のことですが、僕は日本原子力発電・敦賀原発の半径10キロ圏内に暮らす住民たちの健康調査をおこない、その結果、原発の対岸地域で悪性リンパ腫というガンが集中発生していた事実を突き止めたことがあります。……「通常運転」であったにもかかわらず、周辺住民の健康に“異変”が生じたわけです。(45頁)


これからガンで死ぬ日本人が増えていくことだろう。

 ……魚の暫定規制値で放射性セシウムは500ベクレル/キログラムとなっているが、震災前の日本近海魚の平均値は0.086だったので、通常時の5800倍までが「規制値以下」になっている。(61頁)


日本人はいま、放射能のゴミをパクパクと食べているわけだ。

現場の作業者の被曝限度も、250ミリシーベルトに引き上げてしまった。(61頁)


これがどのくらいひどいことなのか?

原発事故の前と比較するとよく分かる。

……2009年度におけるその表を見ると、原発労働者の総数7万8687人のうち、20ミリシーベルトを超える被曝者はゼロだ。原発労働者の白血病の労災認定基準は、年間5ミリシーベルトだ。(61頁)


ここで思い出すべきだろう。

先日も当ブログで紹介した話だ。

日本政府は福島の子どもたちに
「年間20ミリシーベルト」まで許したことを。

原発労働者の労災認定基準の、じつに4倍もの数値である。

覚えておくべきだ。

この国は原発労働者よりも多くの被曝を子どもに認めたのだ。

右派・保守派はこれを批判しなかった。

「国民の生命を守る」と言いながら、批判しなかった。

このことも覚えておくべきだ。

中国産の農薬野菜がどうとか、あんなに騒いでいた日本人に私は言いたいですよ、何をあなたたちは騒いでいたのかって。毎日テレビをつけるとサプリメントだとか健康食品だとか言ってね。放射能をかぶった健康食品を食べたって何の意味もないじゃないですか。(63−64頁)


タバコの煙にはブーブー文句を言うくせに、
放射能や排気ガスはスースー吸う日本人。

中国の公害には文句を言うくせに、放射能を食べている日本人。

わたしはもうワケが分からない。

原子力安全・保安院は「海産物を通して人が摂取するまでに、希釈されて相当薄まると考えられる」なんて相当に呑気なことを言っています。でも、原発による海洋汚染に詳しい東京海洋大学名誉教授の水口憲哉先生に電話で話を聞いたところ「地獄の釜の蓋が開いてしまった」と言っていました。ここから、食物連鎖による放射能の濃縮が始まるからです。(68−69頁)


食物連鎖による放射能の濃縮。

「美しい日本」を破壊したのは、右派・保守派だった。

 東日本大震災が発生して、その後すぐ、中部電力が、浜岡原発の海側に津波対策として防波壁を設置すると発表した。福島第一原発では高さ14〜15メートルの津波が襲来したとされているので、15メートルの高さを目安にするという。でも、この実態を地元の人が調べたら、砂丘は数メートルの砂山で、中部電力は、その砂の上に海岸の砂をブルドーザーでかきあげて10メートルの土塁にしただけ。外国から取材が来て、地元の人が砂丘に案内すると、こんなもので日本人が安心しているのかとたまげて「クレイジー」の連発だったそうです。(83−84頁)


まったくである。

日本人は「クレイジー」である。


  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


本書でも原子力マフィアが名指しで批判されている。

 経団連会長の米倉弘昌(住友化学会長)も原子力マフィアの古ダヌキらしいが、……事故から5日後の3月16日の記者会見で、「日本の原子力の曲がり角か」と質問され、「そうは思わない。今回は千年に一度の津波だ。あれほど耐えているのは素晴らしい」としゃべって、爆発したガラクタ原子炉を讃美している。(102頁)


さすがクレイジーだ。

 ……前東大総長の小宮山宏……は三菱総合研究所理事長で、2009年から東電の監査役に就任し、内閣府の国家戦略室政策参与となっている。(109頁)


この極悪人は次のように放言していたらしい。

……「関係者の刑事責任を問わない、という免責制度を新たに導入してもいい」と、東電を露骨に擁護していました。(110頁)


テレビにも頻繁に出演していた人物で、石川迪夫という悪人がいる。

……石川迪夫が、業界紙「エネルギーレビュー」2007年2月号にこう書いている。

 放射能が存在する以上、管理区域で働く人は、放射能を浴びたり汚染される可能性を持つ。この被曝や汚染の可能性を極力少なくするのが原子力安全の要諦だが、機械は故障し人はミスを犯すもの。管理区域で働く以上、少量の汚染や被曝は避けられない。それを例えれば、お百姓をすれば泥が付くのと同じと。(118頁)


石川迪夫にとっては、泥と放射能が同じなのだそうだ。

ご当人は気の利いた比喩を使ったつもりかもしれないが、
まったく的外れの比喩を使っている。

この点は最近のネットウヨクにとても似ている。

東電の広告宣伝費は年間で約300億円と言われていて、そのほかに、ほぼ同額の「拡販費」というのがあると聞きます。これらのカネが、安全・安心のクリーンキャンペーンやら、政財界、マスコミ記者や幹部の接待、原子力分野のロビー活動に使われ放題なのですね。
 ……「お詫び広告」……にも何億もかけているのだから。言うまでもなく、東電の宣伝費はわれわれの電気料金から出ているのですよ。(126頁)


一般市民への洗脳には、学者も協力している。

■山下俊一(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科長。日本甲状腺学会理事長。福島原発事故後、「福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」に就任)
「放射能の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます。これは明確な動物実験でわかっています。酒飲みの方が幸か不幸か、放射線の影響少ないんですね。決して飲めということではありませんよ。笑いが皆様方の放射線恐怖症を取り除きます。でも、その笑いを学問的に、科学的に説明しうるだけの情報の提供がいま非常に少ないんです」(3月21日、福島でおこなわれた講演会で)

■高村昇(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授。福島原発事故後、「福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」に就任)
「ある一定の線量は人間のためには害にならない、むしろベネフィット(便益、恩恵)になる。X線を使うとか、胃の透視に使うとか……。ここからさらに大きな爆発があるんじゃないかとか、それを皆さんは一番心配してらっしゃると思いますけれども、そういった状況になるとはちょっと考えにくいと思います。現時点では、そしてこの先も、この原子力発電所の事故による健康リスクというのは、非常に、と言ってはいけません、全く、考えられないと言ってよろしいかと思います」(3月21日、同じ講演会で)(155−156頁)


権力に媚びる研究者は、研究者としても失格である。

……ぜひ自らも今の福島県に引っ越して、ついでに「地産地消」にも協力されることをお勧めします。僕は取材のためなら少しくらいは我慢して放射能を浴びる覚悟がありますけどね。先日も取材で2日間ほど(46時間半)福島県に滞在しましたが、積算線量計の値は「13マイクロシーベルト」でした。1年間、福島県内で同様の取材を続けたとすると、原発労働者並みの2.4ミリシーベルトになります。滞在中は努めて地元産のものを食べていましたから、これに内部被曝が加わります。自分は安全圏にいて根拠の乏しい楽観論をしゃべっている“科学者”を見ると、無性に腹が立ちます。(167頁)


原発に賛成するひとたちは、
福島第一原発周辺に強制移住させてはどうだろうか?

 事故から18年後の2004年に、ウクライナ保健省がチェルノブイリ事故による被曝者を320万人とする調査資料をまとめ、児童45万人を含む230万人が政府機関の保護観察下に置かれていると発表しました。2005年にはロシアの保健社会発展相が、チェルノブイリ事故で健康を害した被曝者がロシアで145万人に上り、事故後に生まれて健康を害した18歳以下の人も22万6000人いたことを明らかにしています。被曝者全体の中で身体障害者の認定を受けた人は4万6000人に達しました。事故から20年後の2006年3月時点では、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ3国の健康被害者は合計700万人を数えたのです。2009年4月26日には、ウクライナ全国で犠牲者の追悼式典がおこなわれ、ウクライナだけで公式に事故の被害を受けたとされた人が230万人に上り、事故当時に子供や若者だった4400人もの人が、放射性ヨウ素の被曝による甲状腺ガンの手術を受けていることが分りました。ロシア、ウクライナ、ベラルーシと比較にならないほど人口密度の高い日本で、これから何が起こるか、日本人に分っているのだろうか。(173−174頁)


福島原発事故の影響でたとえ1000人が死んでも、
1万人が死んでも200万人が死んだとしても、
日本人は目が覚めないのかもしれない。


  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


世間には反自民党というひとはいる。

だがそんなひとのなかに民主党には期待するというひともいる。

おめでたいひとたちである。

民主党も決して反原発ではなかったというのに。

 小沢一郎が、自民党幹事長時代に剛腕を振るわなければ、六ヶ所村の核燃サイクル基地は建ちませんでした。(198頁)


とりわけひどいのが、福島選出の渡部恒三である。

 ……1984年1月5日、日本原子力産業会議(原産会議。現・日本原子力産業協会)の新年名刺交換会の席上、当時厚生大臣だった渡部はこんなことを語っていたというのです。
「私はエネルギー問題を解決する最大の課題は原発の建設であるとの政治哲学を持っている」「福島県には日本の原発の30%近くがあるが、そこで育って暮らしているこの私がこの通り元気一杯なのだから、原子力発電所を作れば作るほど、国民の健康は増進、長生きし、厚生行政は成功していくのではないかと思う」(199頁)


この渡部恒三が事故後にどう変わったか?

 ……その同じ渡部が、福島原発事故発生後の4月29日の衆院予算委員会で、……質問に立ち、目を潤ませ、肩を震わせながらこう語りました。
「もちろん、責任は東電です。この40年間、あの原子力発電にあぐらをかいてきた東電です。徹底的に東電の責任は追及しなければなりません。しかし、(福島の)地域の人たちは、東電に協力したんじゃありません。国策だから、国民のために大事だからといって協力してきたんです。そして、その原発地域の皆さんが今どんな生活をしているか。
 私は、休みのとき、あの関係の地域の人にお目にかかると涙が止まらない。しかし、45年間、国のために頑張ってこられた人が、今、妻を失い、かわいい子供を失い、今日の生活、今日の生活をどうしようかと、本当に苦しい立場にあるんです」(199−200頁)


政府を批判すべきメディアもひどい。

「放射能パニック」を戒める報道機関が、その一方で「電力不足パニック」を作り出している……。(217頁)


放射能汚染は報道しないけれども、
中国のPM2.5についてはどんどん報道する。

不思議なことにあのニュースはいまではすっかり消えている。

原子力マフィアが一体となって市民を洗脳した結果、
市民もまんまと「原子力イデオロギー」に影響されていった。

 最近、よく新聞に原発反対の意見が載っているけれど、そういう人たちが必ず発する文句に、「いますぐ原発すべてを止めることは無理だろうけれど」というおかしな言い回しがあって、私はこの人間たちの無知に腹が立ってしょうがない。この無知が、いわゆる学者や文化人に多いのだね。要するに、原発に反対する人も、マスメディアも、電力事情を何も知らずに議論したつもりになっている。(221
頁)


「即時脱原発は非現実的である」というイデオロギーである。

……「ガスエネルギー新聞」(4月6日)で、石井彰さん(エネルギー・環境問題研究所代表)が「『フクシマ後』のエネルギー、『天然ガスの時代』へ」と題して、プロの立場から日本のガス火力の実態を説明しています。タービンをトラックで運べば、場所さえあればどこでも発電できる。日本の発電機メーカーがタービンなどの在庫を切らしていても、ガス火力で世界一のメーカーであるアメリカのGE社に急いで手配すれば、すぐできたことです。原発の重大な事故が起こったら、ただちにガス火力と石油火力をフル稼働しなければならない。それこそが発電のプロである電力会社の唯一の能力じゃないですか。……震災から夏場まで4ヶ月もあるのに、それをしなかったのだから、東電は電力会社として完全失格、公益事業者である電気事業者の資格を取り消すべきだ。(214−215頁)


なぜ日本はこれほどまでに原発にこだわるのか?

その先にあるのは、核武装である。

ウランの採掘から濃縮、そして発電後にその燃料が行き着く先は、原爆材料プルトニウムの抽出という最後の目的地であって、今、日本全土の原子炉に潜在している危険性です。その正体を隠すために生まれたのが、平和利用という仮面なのです。そして現在も、その衣の下にある正体がまったく変わっていないことに、皆が気づいていない。最も分かっていないのは、日本の文化人たちだ。六ヶ所再処理工場と高速増殖炉「もんじゅ」の目的地も、そこにあるのです。
 これは、平和どころか、悪魔の所業です。人間と共存させてはならない技術です。(249頁)


自民党は文字通り悪魔の集団である。

多くの日本人も悪魔の集まりである。


  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


福島原発事故のあと、子どもたちの間でこんな言葉が流行っていたという。

「保安院、全員アホ」。

カタカナで書くとよく分かるだろう。

右から読んでも左から読んでも「ホアンインゼンインアホ」。







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