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zoom RSS 野田正彰『見得切り政治のあとに』(みすず書房)B

<<   作成日時 : 2010/09/05 01:35   >>

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見栄をはりたがる男女の姿は、どこの国でもみっともない。

下品な彼らは、欲望の露出狂そのものだ。

とりわけ彼らは年をとるにつれてその下品度を増してゆく。

お下品な露出狂。

年のとり方をもう少し考えていただきたいものである。


◆「政治のなかのフェティシズム」

しばらく前のこと、木村良樹・和歌山県知事が談合容疑で逮捕された。

その後、収賄容疑でも逮捕された。

公共事業談合のフィクサーから土産は何がいいかと尋ねられ、「腕時計がいいですね」と要求。スイス製「フランク・ミューラー」の数百万円する腕時計を受け取っていたという。(97−98頁)


ここで著者はある読書体験を思い出す。

 ふと、先日読んだ朝日新聞社の船橋洋一氏による大作『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン――朝鮮半島第二次核危機』(同社刊)の一場面を思い出した。2002年10月、アメリカのケリー国務次官補(当時)が訪朝したときのこと。晩餐会でテーブルを囲んだ北朝鮮の要人の誰もがロレックスの高級時計をしていた。アメリカ軍人が「模造品じゃないの」と冗談めかして聞いたところ、「将軍様(金正日総書記)からいただいたのです」と誇らしげに答えた、という。(98頁)


それにしても、男というのはどうして「高級腕時計」を身につけたがるのだろうか?

ほんとうに、どいつも、こいつも、である。

あるお笑い番組のなかで、
出演タレントたちが身につけている私服を紹介するコーナーがある。

彼らの身につけている私服や装飾品の価格が次々と紹介され、
総額が数千万・何億円だと明らかにされたときの彼らは、じつにうれしそうだ。

照れているように見せているが、欲望丸出しの下品な表情だ。

いったい何がそんなにもうれしいのだろうか?

たかが腕時計、されど腕時計。

高級腕時計は、現代の男性諸君にとって自己顕示欲を満足させるもののようだ。

フロイトによると、フェティシズム(拝物愛)は、男の子の強い去勢恐怖から生じ、母にペニスがあると空想した、そのペニスの代理物であるという。抑圧され忘れられた、男の子でなくなるという恐怖は、代理物によって乗り越えられる。これほど幼稚な男たちによって政治が動かされているのである。(98頁)


フェティシズムの対象は、金銭から国家までさまざまだ。

 日本の故郷・大和に近い和歌山、そして北朝鮮・平壌。高級時計のエピソードは、2つの地域の精神が連綿と結びついているのではないか、と思わせる。拉致も“ついこの間”、日本が大々的に行っていた。(98−99頁)


高級腕時計を自慢げにはめているひとは、やはり信用できない。


◆「海南島の悲惨」

中国の南に位置し、ベトナムに近い海南島。

ここはかつて多数の軍慰安所が設置されていたところでもあった。

 ダンナピーンさん(79歳)は14歳のとき、村に押し入った日本兵に拉致され、駐屯地で強姦された。まだ生理もない体は酷く傷ついたが、翌日からおびえる少女を殴って毎晩強姦し続けた。2カ月ほどして藤橋の軍慰安所へ移された。1人1人狭く暗い部屋に鍵をかけて閉じ込められ、排泄はたらいにさせられた。3カ月後、再び元の駐屯地にもどされ、強姦の日々は計3年間におよんだ。多くの少女は死んでいった。(120頁)


彼女は地獄を生き延びたサバイバーである。

残虐な犯罪の犠牲者である彼女は、いまも苦しんでいる。

今も、首、背中が痛み、頭痛もひどい。胸が重く、食欲は乏しい。男が襲ってくる夢、特に方顔にあざのある初期によく強姦した男におびやかされる夢をみる。目を覚ますと涙が出ており、心臓が激しく打ち、もう眠れない。(120頁)


性犯罪は、被害者に終わらない苦しみを与え続ける。

 こうして60年を超えて苦しんでいる老女がいるのに、事実を否定する日本の安倍首相の発言が伝えられ、老女は再び無力感に襲われていた。(120頁)


先日も当ブログに「慰安婦問題」を否定してみせるコメントが寄せられた。

彼は、自分がどれほどひどいことを書いたのかを、まったく自覚していない。

彼は慰安婦制度の事実を自分で調べたこともないだろう。

証言を自分で読んだこともないだろう。

おそらく何も知らないくせに否定してみせているのだ。

彼は、性犯罪の共犯者にもひとしい。

コメント投稿者にしろ、安倍にしろ、モラルの欠片も持ち合わせていない。

日本の司法が彼らを処罰できないのであれば、
国際機関でこのような連中を裁く仕組みを早急に整備するべきなのではないか?

そうすれば、わたしはよろこんで彼らのことを通報したい、と思う。


◆「海南島性暴力被害者のよるべなさ」

ネット右翼どもがどんなに日本の加害の歴史を否定しても、
事実を消し去ることはできない。

 日本軍兵士たちはリー族の少女を暴行によって拉致し、兵舎の一角や慰安所の小部屋に閉じこめ、同じ性奴隷とされた少女と話すことすら禁じ、逃げようとした者の惨殺を見せつけることによって、いつ殺害されるかもしれないよいう恐怖を焼き付けた。14歳から18歳ほどの少女たちは、絶対的な「よるべなさ」のなかで、毎日、男たちの暴力にさらされた。(121頁)


日本でもストレス体験の重要性が認識されはじめている。

大事故が起きると、あるいは犯罪が起きると、
被害者や目撃者に対して精神的ケアが行なわれるようになってきた。

だが、アジアで性暴力の被害を受けた女性たちは、
数年間という長期にわたって性暴力を受けつづけた。

 なかには、慰安所への監禁ではなく、家から兵舎近くの作業場へ通うことを強制され、通いで強姦され続けた少女もいる。彼女は家で3人の日本兵に父母の目の前で次々と強姦された。山のなかの村落なので、その後3カ月、山に隠れていたが、「娘を出せ」といって日本兵は村人を拷問したたため、耐えかねた父母に呼び戻された。そして腰の骨が曲がるほどの暴行を受けた。こうして死の恐怖にさらし、父母に助けを求めることも、父母から娘をなぐさめることも、つまり基本的な人間の交流を奪った後、通いの性奴隷にされていた。(121−122頁)


壮絶な地獄を生きてきた彼女たちは、戦後も、放置されつづけた。

カウンセリングを受けることもできず、ケアを受けることもなかった。

これは「PTSD」をはるかに超えたものだ、と著者は述べている。


◆「依頼者を騙した花岡『和解』」

日本人によって奴隷にされたのは、アジアの女性だけではない。

著者は、中国の河南省である老人と面会した。

彼は、1945年秋田県花岡で一斉蜂起した中国人虜囚の大隊長だった。

日本政府は戦時の労働力不足を補うため、華北の中国軍捕虜および農民を日本へ拉致し、各地で奴隷以下の強制労働を強いた。鹿島組花岡出張所へ送られた986人は、長時間労働、飢餓、職員による殺害、暴行によって次々に死んでいった。わずか1年たらずで、300人ほどが殺された。(124頁)


そんな極限状況にあって、中国人は蜂起を決意した。

だが彼らは、自分たちに暴力をふるわなかった2人の日本人職員には
決して危害が及ばないように計画を練ったのだという。

そのために計画が露見してしまい、さらに100人ほどが殺害されたという。

1995年、鹿島に対して損害賠償訴訟を起こした。

一審は主として時効を理由に敗訴。控訴審において、戦後補償裁判のなかでは画期的な和解が成立したことになっている。だが、朝9時から夕方5時まで、8時間の私との対話のなかで、耿諄さんは「あれは私たちが同意したものではない。私は中国人の尊厳をもって、鹿島に謝罪を求めた。それを知りながら新美隆弁護士(故人)たちは私たちの思いを裏切った」と説いた。
 私は、花岡裁判を支えた善意の人たちでさえ抑圧を生きぬいた人の心情を十分に理解できなかったことに、日本人の侵略戦争認識の限界を感じる。(125頁)


「慰安婦問題」でもそうだった。

善意の日本人たちによって、「かたち」ばかりの解決が図られた。

「アジア女性基金」がそれである。

それは決して被害者たちの望んだ解決法ではなかった。

責任の所在が曖昧にされたままだったからだ。

こうして善意の日本人たちによって、戦争犯罪の責任は隠蔽された。









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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは!いつも拝読しています。
嫌悪感で吐き気をもよおす事実ですが、そういうだけではこのようなトラウマを超える体験させられたことによって「吐き気」対象にまでさせられてしまった被害者の人々が浮かばれませんよね。

事実を検証する努力もせずに薄ら笑いを浮かべながら否定する人たちにはもっと吐き気をもよおしますけど。

で、地獄への道は善意で舗装されているって、ホントですよね。
りあな
2010/09/07 16:53
◆りあなさま

こんにちは!!!

ホントそうですね。「薄ら笑いを浮かべながら」というのは、まったくそのとおり。わたしもこうしたひとびとを怖ろしく感じずにはいられません。彼らをのさばらせるわけにはいきませんので、徹底的に闘っていこうと思います。
影丸
2010/09/11 14:22

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