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zoom RSS 反戦イラク帰還兵の会/アーロン・グランツ『冬の兵士』(岩波書店)@

<<   作成日時 : 2009/12/21 10:57   >>

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ブッシュ前大統領は、凶悪な犯罪者である。

大勢のひとびとの殺害を命じた極悪人である。

日本はブッシュ前大統領の仕掛けた戦争に積極的に協力したのだから、
日本政府も共犯である。

アメリカの戦争に日本も協力すべきだとメディアで発言していたひとたちも、
拉致問題解決のためにアメリカに協力すべきだと言っていたひとたちも、
みんな凶悪犯罪の共犯者である。

それなのに、イラク戦争賛成と言っていたひとたちが、
いまものうのうとテレビ出演しているのだから、
日本の現状も相当に狂っているとしか言いようがない。

日本にはイラク問題はもう終わったものと思っているひとが多く、
よりよい社会を築いていくための責任も義務も放棄している。

しかしながら、アメリカ国内では、米国政府を告発する米軍兵士が現れた。

彼らは「反戦イラク帰還兵の会(IVAW)」を2004年に設立した。

・ イラクからの即時無条件撤退
・ 退役・現役軍人への医療保障その他の給付
・ イラク国民への賠償


この3つを掲げて、彼らは行動を開始した。

戦場では何が行なわれていたのか?

隠しようのない戦場の真実を告発したのが本書である。

必読図書である。

とりわけ、ネット右翼のバカどもにおすすめしたい。


  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


2008年、「冬の兵士 イラクとアフガニスタン」公聴会が開催された。

そこでは、おぞましい証言が数多く語られた。

 通りかかったある女性のことを覚えています。大きな袋を持っていて、こちらに向かってくるように見えた。そこで、私たちは彼女に向けてMk19自動擲弾銃をぶっ放しました。やがて粉塵が収まると、その袋には食料品がいっぱい詰まっていたことがわかりました。その女性は私たちに食べ物を届けようとしていた。それなのに、私たちはその人をチリヂリの肉片に吹き飛ばしてしまいました。(28−29頁)


この女性は、いったいなぜ殺されなければならなかったのか?

何も理由はない。

ただ米兵の気まぐれにすぎない。

 「兵隊さん、私たちイラク人は、あなた方が善意でここにいることは知っています。ですが、実際のところ、アメリカが侵略してくる前は、このあたりで車輌爆弾の心配をすることはなかったし、歩いて学校に通うわが子の安全を登校前に心配することもなかったし、自分たちの町の道路を車で行き来するときに米兵に撃たれる心配をする必要もなかったんです」(56頁)


これは実際に米兵がイラクの市民から言われた言葉である。

米兵たちは、がむしゃらに銃を乱射した。

米兵のなかからも犠牲者が出るようになった。

ある日、仲間の米兵が死亡した。

それを目撃した兵士は、苦しみを抱えるようになった。

 それから9日間、私は眠れませんでした。彼には周囲の人たちの話し声が聞こえていて、誰も助けに来ないと知りながら死んでいった可能性が大いにあったことを悟ったからです。(72頁)


だが、彼はふと思った。

 そしてそのとき気づいたのです。自分はイラクのいたるところで、あんなにたくさんのイラク人の死体を見てきたというのに、私の心をかき乱すのは1人の米兵だということに。今もこの事実と闘っています。これは何を意味するのか。あんなに多くのイラク人の死体を目にしたのに、私を眠りから揺り起こしたのは1人の米兵、同じ人種であり信仰と肌の色をともにする者でした。(72頁)


仲間の死に動揺する彼は、
いつ間にかイラク人の死には鈍感になっていたのである。

アメリカの若者たちは、平気でイラクの市民を殺せるほど、
最初から凶悪な兵士だったわけではもちろんない。

基礎訓練のなかで徹底的に「殺人マシン」になるよう洗脳されていくのである。

「クソ野郎をぶっ飛ばせ」

「くそったれ野郎のケツを蹴飛ばしちまえ」

「やつなど死んでけっこう。あんな野郎を育てた親も死んじまえってんだ。やつを捨てた女もくたばりやがれ」(81頁)


教官からの容赦のない怒号を浴びながら、
口汚い言葉を繰り返し叫ぶように強いられる。

……基礎訓練キャンプの別の教官は「士気高揚を目的とする動画」を新兵たちに見せた。「やつらをぶち殺せ」という歌詞を含むヘビメタの曲に乗せたその動画には、イラク人の死体、爆発、銃撃戦、ロケット砲などが映し出されていたという。(81頁)


こうして軍隊は、兵士を「非人間化」していく。

新兵に「殺せ、殺せ、殺せ」と繰り返し唱えるように強いる訓練が行なわれる。

そして、兵士だけでなく、敵をも「非人間化」していく。

イラク人は生きるに値しない動物であると見なすのである。

ここに衝撃的なデータがある。

2007年5月に、国防総省がイラクで戦闘にあたる米兵を対象として行った調査によると、非戦闘員には敬意を持って接するべきだと思う、と答えた陸軍兵士および海兵隊員は全体の半数以下だった。同じ部隊の仲間が罪のない市民を殺傷した場合には報告する、と答えたのも約半数に過ぎない。また、40%以上が拷問を支持している。(83頁)


拷問を支持しているひとたちは、
自分がされる側だとはまったく思っていない。

自分たちにだけ「敵を拷問する権利」があるのだと考えている。

しかし冬の兵士たちは、告発をつづける。

 私がここにいるのは、様々な対象への怒りを表明するためでもあります。アメリカ人が国の外でしていることに対する怒り、イラク戦争は成功しつつあると大統領が並べ立てる美辞麗句に対する怒り、そしてこの占領に無関心なこの国の市民に対する怒り。これが今日ここにいる理由でもあります。こんなことが私たちの名の下に行われているのだから、すべての人に、1人ひとりにその責任があります。
 私は自分の行為を心から謝罪します。してしまったことは取り返しがつかない。イラクの人びと、祖国の人びとに私は許しを請います。もうこれ以上、こんなことは続けさせません。(88−89頁)


こう証言したのは、マイケル・トッテン元特技兵である。

彼は、証言を終えると、青銅星章授与の際に受け取った表彰状を引き裂いた。

破り捨てられた表彰状にはこう書かれていた。

……「トッテンの班は、自らの危険を顧みず敵の部隊と交戦し、結果、地域社会の女性と子どもに向けられた脅威を排除した。彼の班が地域の治安を回復し、数多くの人命を救う過程で、トッテン上等兵は何度も敵の銃弾に身をさらした。厳しい状況下において彼が示した勇気と勇敢な行為と無私の奉仕は、彼自身と、第101空挺師団と、合衆国陸軍に大いなる名誉をもたらした」](89頁)


白々しい文言である。

戦場で殺人の経験を積んでいくと、兵士は凶暴さを増していく。

1人の隊員がイラク人の帽子を取るのを見ました。その隊員は帽子を自分のズボンの後ろに突っ込んでそのあたりを拭き、目隠しされたそのイラク人に食べさせようとしました。(123頁)


思わず吐き気を覚えながら読んでしまう記述である。

こうしたアメリカ軍の空気が戦争犯罪を生まないわけがない。

それについては、次回以降の記事で紹介したいと思う。

 私たちはテロリストと戦っていると教えられました。ところが、本物のテロリストは私だった。そして本当のテロリズムはこの占領だ。……人種偏見がなければ、兵士は、自分たちを戦場に送り出す億万長者よりも、イラクの人びととのあいだに、もっと多くの共通点があることに気づくでしょう。(135頁)


表彰状を聴衆の眼前で破り捨てた証言者がいた。

証言の途中で泣き崩れる証言者もいた。

兵士たちの証言の記録はまだつづく。








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