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zoom RSS 斎藤貴男・吉田司『石原慎太郎よ、退場せよ!』(洋泉社新書)

<<   作成日時 : 2009/09/16 09:26   >>

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東京都民にとって恥ずべき歴史がある。

石原慎太郎を都知事にしたことである。

そして、いまも石原慎太郎を都知事の職に置いていることである。

このチンピラ極右の人種差別主義者を都知事にしていることが、
どれほど国際的に恥ずかしいことなのかを都民は自覚していない。

本書は、斎藤貴男と吉田司の対談である。

病的なほどに愚鈍な都知事のせいで東京都がいかに変貌してしまったか?

そのことがとてもよく分かる本である。


  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆


石原慎太郎はいま、2016年の東京オリンピック招致のPRに忙しいらしい。

わが国は世界で唯一、第二次世界大戦後の60年間、一貫して平和を貫いてきました。その日本でオリンピックを開催することは、世界平和への大きな貢献になると信じています


思わずわが目を疑ったのだが、
これは「あの石原慎太郎」が記者会見で吐いた言葉だそうだ。

ジャーナリストの斎藤貴男は、この発言について次のように述べている。

 この人はいったい何なのだろう。何かと言えば戦争だ戦争だと騒ぎ立て、でなければ女性や外国人や障害者や職のない若者や、要するに自分の気に入らない人々を片っ端から差別しては嘲笑うことばかりを繰り返してきた男が、己の野望のために国際社会向けの体裁を取り繕う必要が生じたとなると、思ってもいない、そもそも口にする資格のない言葉を平然と弄んで恥もしない。(3−4頁)


わたしもまったく同感である。

石原慎太郎の口から「平和」だの「世界平和」だのという言葉が出てくるのだ。

これをギャグと呼ばずして何をギャグと呼ぶのだろうか?

それにしても、どうして彼はオリンピックにこだわっているのだろうか?

背景にはまたぞろ大規模開発に伴う政財官界の利権構造が横たわり、彼らに恩を着せると同時に、「日本をなめたらあかんぜよと(世界に)悟らせる」という発言に象徴される幼稚な発想を満足させたい一石二鳥。(4頁)


なるほど。

都民はどこまでこの腰抜けのチンピラに付き合うつもりなのか?

斎藤貴男は、石原慎太郎のことを「精神年齢3歳児の老人」と呼んでいる。

わたしもそう思う。

石原が都知事になったために、都庁内部の雰囲気も悪化していると言われる。

学校教育も破壊された。

東京都は「日の丸・君が代」を徹底的に現場に強制している。

斎藤貴男は、これに関連した事件を報告している。

養護学校は陰惨でしたね。式典のときに、舞台に校長があがっただけでも差別を連想させるということで、差をつけないのが都立の養護学校のやり方だったんです。卒業式もフロア方式といって、校長以下、床に並ぶのが通例だったんですが、この通達では絶対に舞台壇上で行えと定められています。
 フロア方式には物理的な理由もあって、障害の程度によっては、壇上にのぼれない子どももいるわけです。それでも舞台壇上で行えと都教委は命じた。仕方ないから何百万円もかけてスロープを作って、車椅子でのぼれるように改装する。このための予算は簡単に出ました。
 同じ理由で起立できない子もいますよね。ならば両脇を抱えて立たせて歌わせろと。養護学校によっては、壇上から生徒や父兄を撮影して、それを後から都教委に報告させたり。やっていることが陰湿で、見ていられませんでしたよ。(97−98頁)


東京都によると、校長は
舞台上から学生たちを見下ろす位置に立たなければならない、という。

そして、校長の後ろには、日の丸が掲げられているわけだ。

右派の見栄を満足させるためだけの典型的な形式主義である。

そういえば、日の丸・君が代の強制に苦言を呈したのは、ほかならぬ天皇だった。

吉田司はこう述べる。

2004年に皇居での園遊会に招待された米長邦雄が「日本中の学校において国旗を掲げ国歌を斉唱させることが、私の仕事でございます」と天皇の前で言ったら、天皇が、「やはり、強制になるということではないことが望ましいですね」と応じたでしょう。(99−100頁)


わたしもそのときの映像をよく覚えている。

米長が卑屈なほどに頭を下げて、
「ありがたいお言葉……」というようなことを言っていた。

右派のみっともなさが映像としてバッチリ流れた瞬間だった。

斎藤貴男は、これに対して、こう答えている。

もし、われこそは正真正銘の保守だと自任している人なら、天皇の意を受けて、ちゃんと石原なり都教委に強制はやめなさいと申し入れるのが筋でしょうが、何もやってませんよね。日本の保守だの右翼なんていうのはそんなものです。天皇など利用する対象だとしか考えていない。かといって私のような立場の人間が、天皇陛下もああ言っておられるから、強制すべきではないとも言えない。あの発言が、石原なり都教委に影響したとは思えません。(100頁)


石原都政は、強制力を行使することを得意として、
民主主義などじつは「これっぽっち」も考えていない。

その職員会議なんですけど、いまや教員が挙手をしてはいけないんです。知ってました? 06年の「学校経営適正化通知」によって禁じられたんです。会議で何か意見を言ってはいけないんですよ。(116頁)


こんなことをしている石原慎太郎が、どうして中国や北朝鮮を批判できるのか、
わたしにはまったく理解することができない。

日ごろ中国や北朝鮮を批判しているひとびとが、
こうした非民主的な暴挙をどうして容認しているのかも、
わたしにはまったく理解することができない。

……中野区の健康学園がつぶされるとき……中野区教育委員会に取材しに行ったことがあるんです。親たちがなぜ怒ったかというと、健康学園をつぶすと聞いて撤回を求めた彼らに、中野区教委の役人が「お宅のお子さんには年間で1千万円近い金をかけさせられてきたんですよ!」と怒鳴ったのだと言います。(116−117頁)


都知事が人種差別・女性差別・障害者差別の見本市というひとだから、
職員もそのような考え方に染まってしまったのだろう。

ところで、オリンピック招致でも、石原慎太郎は皇太子夫妻を利用するつもりらしい。

オリンピック開催の裏には、いつも土建業界の欲望が渦巻いている。

斎藤貴男は、以前開かれた長野オリンピックについてこう述べている。

長野県の場合は、土建国家の最たるものが長野オリンピックの競技会場建設、都市部の再開発、高速道路建設などで表れたから。(113頁)


あのときもひどかった。

長野県での土建屋政治ぶりはあからさまで、長野市の駅前再開発なんかやるんだけど、その一帯には当時の吉村牛良知事の家があったり、見え見えのの利権誘導だったんです。オリンピックが終わってしまえば何の役にも立たないような競技場を作って。わかりきっていたことですが、工事を受注したのは全部東京のゼネコンなんですよ。地元の土建屋はみんな下請けで、仕事だけさせられて金にならないで、何社か倒産しています。(113−114頁)


オリンピックの薄汚さをもう多くのひとは知っている。

けれども、石原慎太郎はますます都政の私物化を進めている。

オリンピック招致のための予算について言えば、55億円かかるとIOCに報告しています。ところが、世論が盛り上がらないので、どんどん上積みされて、いつの間にか150億円になってしまいました。当初、都の負担額は15億円のはずだったんですが、約100億くらい負担することになっているようです。


実際は100億円でもすまないかもしれない。

石原は、オリンピックを機会に、築地市場の移転をねらっていた。

都は築地市場を江東区の豊洲に移転する計画を立てていますね。移転予定地は、東京ガスの豊洲工場の跡地で、高濃度の有害物質が検出されました。……それでも移転させようとしている一番の理由は、築地市場跡地の再開発があるからです。……
 当初の計画では2016年のオリンピック開催とセットでした。築地の跡地をオリンピックのメディアセンターにすることが計画されていました。(126−127頁)


石原慎太郎による都政の私物化を示すもっとも特徴的なエピソードは、
やはり次のものだろう。

たとえば豪華ファミリー海外旅行。04年のアメリカ出張ではグランドキャニオンに行っているんですが、妻と特別秘書が同行しています。石原夫妻はファーストクラス。参加者11人の出張総額は10日間で2135万円ですよ。これは氷山の一角で、同じ年のスイス、フランス出張には約2800万円、06年のイギリス出張には約3500万円。これ全部、税金ですよ。(129−130頁)


これが、日ごろ「愛国主義」的な主張をしている御仁の本性である。

これが、「特攻隊」を賛美している御仁の行なっていることである。

2005年9月、東京・銀座の料亭で支援者らから現金2000万円を受け取ったのに自らの政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反の疑いで告発……。また、……豪華ファミリー海外旅行や息子への仕事の斡旋。(191頁)


これが「自称・愛国主義者」の本当の姿である。

石原慎太郎は恥というものを知らないのだろう。

右派がこのようなチンピラを放置していることも、謎である。

斎藤貴男はこうも言っている。

……私に言わせれば、ただのコソ泥でしかありません。(133頁)


わたしもまったく同じ感想を持つ。

吉田司は、石原慎太郎の「お友だち」のなかにし礼の発言を取り上げている。

いま中小企業がバタバタ倒れ、自殺者3万、5万と言われる中で国会議員は一体何をやっているのでしょうか。『三国人』の発言だってほめられないけれど、良いも悪いも含めてハッキリと物を言える政治家ってもう石原慎太郎しか残っていない。わかるでしょ」(『AERA』03年5月26日号)
 彼はね、だから何か政策を実現するリアル政治でなくていいんですよ。「ハッキリと物を言う」、それだけでいいんです。(140−141頁)


そういえば、メディアもしばしば、
「ハッキリと物を言う政治家」というイメージで石原慎太郎を捉えてきた。

その影響からか、街頭インタビューなどでも、
「石原慎太郎はハッキリと物を言う政治家である」と答えるひとが多いように思う。

わたしは石原慎太郎が本当に「ハッキリと物を言う政治家」だとは考えていない。

彼ほど欧米に対するコンプレックスが強く、
実際には何も言えない政治家はいないのではないか、と思うくらいだ。

だが、実態はどうでもよいのかもしれない。

世間のひとびとにとっては、
「ハッキリと物を言う政治家」というイメージで十分なのかもしれない。

吉田司は、石原慎太郎のかつての発言を引用している。

うちは士族の出でね。カッコいいんだ。武田の武士でね弓矢の名人でね、家紋が7つ矢の矢車なんですよ。武田軍団って、戦強かったでしょ。うちの家訓はね、『明日の戦、わが身無念と心得べし』ってんですよ。つまり死ぬだろうと……。だから俺の親父もわりと覚悟して、毎晩接待で酒飲み続けて、仕事で死んでいった。『今宵の宴、わが身無念と心得べし』じゃないけどね(笑)
 しかるに石原慎太郎76歳、都知事10年目の「人生の時の時」、お主はいま何をやっているのか!?(190頁)


そのうえで、石原慎太郎に対して最後にこう勧告している。

かくて斎藤貴男と私はいま固くスクラムを組み、こうあなたに退場を勧告したい。
「君、都政を私物化することなかれ」「都政は公なり、私に非ざるなり」と。今宵の宴はもう終わったのである。(191頁)


先の都議選においても、自民党は大敗している。

こんどは石原慎太郎を叩きつぶす番である。

中国、韓国、北朝鮮、台湾、シンガポール、フィリピン、インドネシアなど、
アジア諸国のみなさんに呼びかけたい。

さらには、世界中のひとびとに呼びかけたい。

ぜひ2016年の東京オリンピック招致には、反対していただきたい。

石原慎太郎という人物は、日ごろからあなた方を露骨に差別してきたのである。

もし彼が「東京に投票してほしい」と言ってきても、
「おい、どの面下げて言っているのだ!」と一蹴してやっていただきたい。

わたしたちは、石原慎太郎が逮捕される日が早く来ることを望んでいる。







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