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zoom RSS 『恋空』★★☆☆☆

<<   作成日時 : 2009/08/02 01:33   >>

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若者の間で爆発的なヒットとなったケータイ小説『恋空』の映画化作品。

わたしはこれを仕事上の必要性から観た。

好んで観るような作品ではないし、
わたしはそんなに暇ではない。

仕方なく観た、というのが本当のところである。

お仕事、お仕事。

とまあ、そんな言い訳をわざわざ書く必要もないのかもしれないが。

若者を相手に調査してみると、驚くほど多くのひとがこの作品を観ていた。

そして、じつに多くの割合の若者がこの作品を観て「泣いた」らしい。

どうしてこの程度の作品で泣けるのか?

それがわたしには「謎」であった。

だが、この作品は、ある意味で「必見」である。

原作の軽薄さとは異なり、この映画はなかなかうまく撮っているのだ。

主人公の名は、原作者と同じ「美嘉」。

父・母・姉と暮らす4人家族であり、どこにでもあるような普通の家族である。

冒頭のシーンは、大人になった美嘉が電車に乗っている。

美嘉を演じるのは「ガッキー」こと新垣結衣。

電車に乗って彼女はどこへ行こうとしているのだろうか?

なぜ彼女は青空を見上げているのだろうか?

この疑問は、物語の最後で明らかにされる。

画面はやがて主人公・美嘉の回想シーンへと移り、高校1年生の場面に変わる。

美嘉の恋人になる「ヒロ」とはじめて出会うシーンだ。

「ヒロ」に対してはじめは好感を持っていなかった美嘉だが、
やがて「ヒロ」の強引さに惹かれていく。

ああ、なんというありがちな展開なのだ、
まるで「ありがちな少女マンガ」ではないかと思って大笑いしてしまうのを抑え、
次のシーンを待つ。

物語の詳細は書かないことにするが、
「衝撃的な事件」が美嘉を立て続けに襲うのだが、
美嘉はそれらを乗り越え自分の人生を前向きに生きていく、という流れだ。

そして、もっとも衝撃的だったのが、ラストシーンである。

これはコラムニスト中森明夫がどこかで述べていたことなのだが、
このラストシーンがじつに衝撃的なのだ。

高校時代から場面は現代に戻り、
カメラは、電車に乗ってどこかへ行こうとする大人の美嘉を映す。

バックに「Mr. Children」の「旅立ちの唄」が流れはじめる。

わたしはこの「Mr. Children」が嫌いなのだが、それはどうでもよい。

当然観ている者としては、
「旅立ちの唄」が、美嘉の新たな「旅立ち」を示唆しているのだろうと想像する。

やがて電車はある駅に停車する。

カメラはホームに立つひとびとを映す。

よく見ると、そこで待っていたのは実嘉の家族なのである。

父・母・姉が笑顔で手を振っている。

つまり美嘉は、電車に乗って、実家に帰ってきただけなのだった。

どこにも「旅立」たないのだ!

実家に帰っただけだったのだ!

こうして大爆笑のうちに作品は幕を閉じる。

わたしはこの衝撃的なエンディングを、監督による意図的な演出と見る。

そう考えると、すごい作品だった。

この監督は、なかなかやるぞ。

主演:新垣結衣

原作:美嘉『恋空〜切ナイ恋物語』

(監督・今井夏木/2007年日本)







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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
生まれた時から死へ向かって敷かれている人生のレール。
逸脱を許さない社会体制。
旅立ちすら認められない閉そく感と、旅立ちたい若者たち。
どんな生き物も通る、本当の旅立ちの前の「旅立ちごっこ」。

 きっと若者たちは、同世代の体験談を確認しているのでしょう。たとえ疑似体験かも知れなくても。書物からの疑似体験が通常だった私のころとは違い、今は映像で疑似体験をするようになった。そんな風に私は見つめています。
 まぁ、私も高(年齢)青年(?)ですから、特に観たいとは思いませんが…。
山路 独
2009/08/02 08:02
◆山路独さま

「旅立ちごっこ」というのは、いいネーミングですね。著名なある研究者が「日本のナショナリストたちがやっているのは、『ごっこ』なのだ」といったようなことを言っていたのを思い出しました。

「最近の若者は」と世代論的に斬って捨てることなく、若者の精神傾向をきちんと見極めていきたいと思っています。そのとき、山路さんのおっしゃった「ごっこ」というのも、ひとつのキーワードになるかもしれませんね。
影丸
2009/08/05 15:56

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