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zoom RSS 安田節子『自殺する種子』(平凡社新書)B

<<   作成日時 : 2009/07/31 09:34   >>

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グローバリゼーションを進めたのは、多国籍企業である。

そしてそれを強引に後押ししたのは、新自由主義(ネオ・リベラリズム)である。

ネオ・リベラリズムが世界中を席巻し、
日本では小泉構造改革が有権者の圧倒的支持を得た。

市場原理主義者は、規制緩和・自由化を行なえば世界は発展する、と言った。

小泉純一郎も竹中平蔵もそう言った。

だが、市場原理主義者の言うとおりにしたとき、実際に何が起きたのか?

 ハイチは米の自給をしていたのに、米国とのFTAを結んだあと、米国から米が無関税で輸入された結果、米農家は一掃されてしまいました。そこへこのたび(2008年)の穀物高騰です。急騰した米を買えずに人々は飢えに直面する事態となったのです。市民が暴徒化し、デモ隊が警官隊や国連平和維持活動(PKO)部隊と衝突。08年4月、首相は解任され、政府崩壊の危機となりました。泥ビスケットを食べざるを得ない人々の報道には胸が痛くなります。
 メキシコはトウモロコシの原産国といわれ自給していましたが、米国、メキシコ、カナダ3カ国の北米自由貿易協定(NAFTA)により、安い米国産トウモロコシが輸入され、国内消費の30%を占めるまでになりました。米国からの輸入GMトウモロコシにより、貴重な遺伝子資源である原種のトウモロコシが遺伝子汚染されたことが報告されています。またここ数年の価格の急騰により、トウモロコシで作る主食のトルティーヤを買えなくなったことから数万人規模の抗議デモが行われ、政情不安を招いています。(150−151頁)


ハイチのひとびとが飢えていたとき、
あのブッシュ大統領はへらへらと笑っているだけだった。

環境対策を口実にしたバイオエタノール産業への支援が行なわれ、
原料となるトウモロコシの価格は急騰した。

それに目をつけた穀物市場に投機マネーが流入し、
穀物価格の異常な高騰を招いた。

33カ国もの国で、飢えに直面した人々の怒りで政権を揺るがす大規模な抗議行動やゼネストが起きました。(14頁)


しかし、投機筋の誰ひとりとして「責任」をとったものはいなかった。

誰ひとりとして「謝罪」もしなかった。

彼らは、途上国のひとびとがどんな目にあおうとも、
何の関心も持たないからである。

彼らが関心を持って見つめるのは、市場動向を示すグラフだけである。

 途上国は押しなべて農業国といえるのですが、農業国でなぜ飢えるのか。それは世界銀行が指南してきた開発モデルに従い、債務を返済するために地場の自給農業をやめて、農地ではもっぱら先進国向けの換金作物を生産しているからです。(14頁)


そのとおりである。

資本の自由化をすすめる機関が、国際通貨基金(IMF:International Monetary Fund)、
貿易の自由化をすすめる機関が、世界貿易機関(WTO:World Trade Organization)だ。

また、自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)や
経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)を地域レベルで結ぶことで、
自由貿易を拡大しようとする動きもある。

自由貿易を途上国に広げるために、先進国は構造調整プログラムを押し付ける。

では、「構造調整プログラム」とは何か?

構造調整とは、1980年代以降のアジア諸国の債務危機問題に際して、世界銀行がIMFなどと協力して採用した発展途上国支援方式である。借款を行う条件として、相手国に社会的な改革を実行することを約束させるものだった。たとえば世界銀行は最貧国のひとつであるベトナムに借款を認める前に、地方の開発と、石油や砂糖などの貿易自由化を要求した。ベトナム側は労働者の保護などの理由で、こうした改革には抵抗の姿勢を示していたのである。(エレン・マイクシンズ・ウッド『資本の帝国』、H頁)


途上国がますます貧困に陥るのは、これが大きな原因だった。

それなのに、途上国の貧困の原因を、まだ途上国のせいにしているひとがいる。

途上国の努力不足?

まさか。

途上国を貧困に追い込んでいるのは、ほかならぬ先進国なのである。

IMFやWTO、世界銀行によるグローバリズムを推進してきた国際分業論は破綻したと見るべきでしょう。(15頁)


バイオ燃料の需要が高まっている。

原油価格の高騰もバイオ燃料の需要増に拍車をかけている。

「バイオ燃料は環境にやさしい」、これが米政府の言い分だった。

だが、事態は皮肉な結果を生んでいる。

 ブラジルは優位なバイオ燃料を次世代の輸出産業と位置づけ、生産を拡大しています。バイオ燃料業界は活況に沸き、大地は次々とサトウキビ畑や大豆畑に変わりつつあります。また、アマゾンの森林も広範囲に伐採されています。(17頁)


環境を保護するために開発されたはずのバイオ燃料は、
アマゾンの熱帯雨林を大量に破壊する結果となったのである。

しかも、遺伝子組み換え作物への切り替えが進んでいるという。

米国のトウモロコシの8割、大豆の9割以上(2008年)がいまではGM品種です。(17−18頁)


それにしても、どうして穀物市場はそこまで急激な価格変動を起こしたのか?

商品市場の規模は、株式市場、債券市場に比べてはるかに小さく、米国の株式市場の時価総額1510.4兆円に対して、小麦市場(シカゴ商品取引所)の市場規模は14.8兆円、トウモロコシ市場(同)は13兆円、大豆市場(同)は8.8兆円であり、いずれも株式市場の1%に満たないものです。商品市場で最大の原油市場でも、市場規模は212.4兆円であり、株式市場の7分の1程度の規模です。このため、商品市場、とくに規模の小さい穀物市場は、まとまった金額の買いによって、相場は急騰してしまいます。
かくして巨額の資金量を有する投機筋が市場の約3分の2を買い込むまでになり、異常な価格つり上げが起きたのです。(21頁)


やはり犯人は投機マネーだった。






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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 カネゴン(金権亡者)達の強欲さには、際限がありませんね。ずいぶん以前から、各種告発が多々行われているのですが、潤沢な資金に物を言わせた「教育」が、全く見事に人々を騙してきました。
 カネゴン(金権亡者)達による人体実験を、早く止めさせねばなりませんが、真実を知る人は常に少数であり、苦戦が続くでしょうが、情報を発信して共有いきましょう。
山路 独
2009/08/01 02:52
◆山路独さま

ありがとうございます。そうですね、そういうことにこそ、ネットが威力を発揮していってくれるといいですね。こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
影丸
2009/08/05 15:43

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