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zoom RSS 中島義道『人生に生きる価値はない』(新潮社)・続

<<   作成日時 : 2009/05/04 00:10   >>

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本書はエッセイ集なので、論理を尽くしているものではない。

軽く読み流せる本である。

かつての大英帝国も、大日本帝国も、他国に侵入し、他民族を支配し、おごり高ぶり、しかも自分たちを「名誉ある民族」と自画自賛していただけである。ローマ帝国は名誉ある地位を占めていたのだろうか? 塩野七生氏が、どんなに賛美しようと、たしかに偉大な国家であったろうが、その数々の残忍な支配を加味すると、名誉ある国家とは到底思えない。


著者は塩野七生を評価していないようだが、
池田晶子(『14歳からの哲学』の著者)のこともまったく評価していなかった。

「池田晶子追悼」というエッセイをここに載せているが、
彼女の能力をまったく評価していないことが分かる。

名だたる日本の哲学者たちとの飲み会の話も書かれている。

あのひとはそんなことを言っていたのか、
あのひとはそういうセリフを吐くのか、
とそれらの哲学者と交流のないひとには興味深いエピソードがあった。

そこはおもしろかった。

ついでに、最近流行の「セレブ」とかいうのが、バカらしくてしかたがない。上流人種とはすなわち金持ちにすぎず、その要因から教養は完全に抜け落ちている。深夜のバカ番組(よく見るのです)で、セレブの超豪華マンションを訪れるのだが、その広大な応接間には広大なテレビがあるだけで、そこでセレブであるIT企業の社長は、ワインを飲み、訪問した女性にやさしく語りかけるのだが、本が1冊もない(奥の書庫にどっさりある感じでもない)!(51頁)


日本の「セレブ」に教養がない、というのは同感だ。

ここが、応接間に大きな本棚が必ずある欧米の「セレブ」と大きく違うところだろう。

もっとも、最近のアメリカでちやほやされている「セレブ」は、
本などまったく読まないのだろうけど。

だから彼/彼女らは怖ろしく軽薄に見えるのかもしれない。

以前、ゲスト・タレントに100万円を渡して、
数時間以内に使い切ってください、というTV番組があった。

100万円で何を買うのか?

ほとんどすべてのタレントは、まず家電製品を買いに行っていた(と思う)。

高額な商品というと、そういうことになるのだろう。

しかし、見ていて唖然とした。

誰ひとりとして、書店に行く者がいなかったからだ。

100万円あったらどんな本が買えるだろうか?

プラトン全集、ヘーゲル全集、マルクス=エンゲルス全集、世界文学全集などなど。

そういうものをドサッと購入した者はひとりもいなかった。

……教養ゼロの御仁がテレビにシャーシャーと出て、教養ゼロのご託宣を述べる。(52頁)


これが日本の現状である。

私は電車内で化粧をする女は反吐が出るほど嫌いである。だから、それを当事者にどうしても伝えたくなる。(100頁)


実際、著者は、電車内で化粧をする女性に「やめなさい」と大声で注意するらしい。

しかし、常識を徹底的に批判するべきだ、
と本のなかで繰り返してきたはずの著者(哲学者!)にしては、
ずいぶんとお粗末な行為である。

本書には、「なぜ車内での化粧は許されないのか」という考察がまったくない。

それほど容易に答えは出ないはずである。

「嫌いである」と言われても、なぜ嫌う理由があるのかを述べるべきであろう。

もしそこで「マナー違反」などと言うならば、哲学者を名乗ることはできまい。

そんなことは言わないはずである。

では何と言うのだろうか?

ぜひ別の著書でご説明願いたいものである。





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