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zoom RSS 森岡正博『33個めの石』(春秋社)B

<<   作成日時 : 2009/05/09 04:55   >>

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人種差別は誰もがいけないことだと言う。

しかし、人種差別はいまだに存在している。

ということは、差別の加害者が実際にいる、ということだ。

差別をしているご本人には、自分が加害者である自覚がない。

石原慎太郎にも多くの日本人にもその自覚はない。

だからわたしたちは名指しつづけなければならないのである。

「あなたのしていることは差別なのだ」と。

そして、同時にわたしたちは問いつづけなければならないのである。

「自分のなかにも『内なる差別意識・偏見』が潜んでいるのではないか」と。

さて、次に挙げるのは日本で実際に起きたことである。

数年前のこと。

東京都は、防災啓発のためにパンフレットを作成したという。

それは、「地震が起きたときには冷静に行動しよう」というメッセージを伝えるためのマンガだったのだが、あるイラストのなかでは、アフリカ系の男性が地震についてのデマを広めている図が左半分に描かれ、右半分には、そのことを白人男性によって叱られている図が描かれていた。(78−79頁)


これは「たまたま」そういうふうに描かれていただけなのか?

もちろんそうではない。

もう一枚のイラストでは、地震が起きたときに、アフリカ系の男性が無理やあり電車の窓から車内に入ろうとして、駅員に制止される姿が描かれていた。いずれの場合も、社会の秩序を乱す人間として、アフリカ系の男性の姿が使われていたのである。(79頁)


東京都で、このような目を覆いたくなるような「差別」が実際に起きていたのだ。

しかもわれわれの血税を使って、である。

多くの日本人がパンフレット作成に関わっていたはずなのに、誰ひとりとして疑問を呈さなかったことが、いちばん恐ろしい。(79頁)


おそらくパンフレット作成に関わったひとたちに、
自分が人種差別の張本人であるという認識はないのであろう。

このことを問題視する日本人がほとんどいないことが怖ろしい。

ちなみに、歴史の教訓によれば、大地震が起きたときに冷静に行動せず、
デマを流して外国人を虐殺したのは他ならぬ日本人自身である。

人種差別主義者は、外国人をまるで治安を乱す存在であるかのように表象するが、
実際に治安を乱し人殺しまでしたのは日本人レイシスト自身だった。

これが歴史の教訓である。

次も日本人の閉鎖性を見事に示す事件である。

2006年に、日系ブラジル人男性が、静岡県袋井市の土地を買おうとしたところ、地元自治会が転入を阻止しようとした。ブラジル人男性は、法務局に人権侵害を申し立て、その事実が認められた。だが、男性は、結局、別の場所に土地を購入した。(82頁)


これも典型的な人種差別である。

きっとこの自治会のひとたちは、地元では普通のいいひとだったりするのだろう。

しかし、差別は極悪人だけが行なうわけではない。

普通の市民が平然と行なうものでもあるのである。

このような恥知らずな人種差別を育むものは何なのか?

それは言うまでもなく「ナショナリズム」である。

唯一のではないが、大きな要因のひとつである。

というわけで、次回は「ナショナリズム」について。






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