フォーラム自由幻想

アクセスカウンタ

zoom RSS 赤瀬川原平『学術小説・外骨という人がいた!』(ちくま文庫)

<<   作成日時 : 2008/12/16 22:48   >>

トラックバック 0 / コメント 0

いつもは比較的まじめな本ばかり紹介しているので、
たまには大笑いしてしまう本を紹介しようと思う。

さて、「外骨(がいこつ)」という名前の人物が実在したことをご存知だろうか?

「宮武外骨」というのが、そのひとの本名である。

誰も本名だと信じてくれないので、
「宮武外骨是本名也」というハンコまで作ったらしい。

彼は、明治・大正時代のジャーナリストである。

その宮武外骨のおもしろさを初心者のために紹介したのが、本書である。

彼は『スコブル』という奇妙な名の雑誌を発行していた。

どんなことが書かれていたのか、一部を紹介しよう。

【自堕落者一覧表】

・ 便所から出て指先ばかり洗ふ人
・ 面も洗はず寝所で物を食ふ人
・ 手鼻をかんで電信柱でこする人
・ 寝床を一日敷いて置く人
・ 鼻糞を丸めて指で弾く人
・ 電車中で唾を吐いて下駄でこする人
・ 劇場寄席そのほか汽車や電車中でスカシ屁をする人
・ 土瓶の口から茶をのむ人
・ 涎(よだれ)を垂らして眠る人
・ 歯糞をほじつて


いかがだろうか?

こういうことを「まじめ」に一覧表にしているところが、並々ならぬ変人ぶりである。

次に、もっとも有名な『滑稽新聞』から。

「我をしてたらしめば」シリーズである。

・ 我をして蚤(のみ)たらしめば美人の細腰を這い廻らん
・ 我をして蛆(うじ)たらしめば女学校の便所に住まはん
・ 我をして蝶たらしめば乙女の頭を飛び廻らん
・ 我をして煙草たらしめばお職女郎の口に吸われん
・ 我をして板間(いたのま)たらしめば女湯の流し場とならん
・ 我をして爆発物たらしめば永田町にて破裂せん


いったい何を考えているのだ? このおじさんは。

そう思うのももっともだが、
外骨が書きつづけたのはこうした「ネタ」ばかりではない。

大阪の警察署長をこてんぱんに批判し、
官吏侮辱罪に問われて刑務所にまで入った経験がある。

そのネチネチとした批判の仕方には大笑いするのだが、
外骨が「反骨のジャーナリスト」と呼ばれた所以である。

ユーモアがあり、知的遊戯に富んでおり、
こういう稀有なジャーナリストがかつて日本にいたのである。

ぜひ本書を読んでみていただきたい。

ただし、電車のなかでは読めない。





テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
赤瀬川原平『学術小説・外骨という人がいた!』(ちくま文庫) フォーラム自由幻想/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる