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zoom RSS 『グッバイ、レーニン!』★★★☆☆

<<   作成日時 : 2008/10/19 04:58   >>

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『グッバイ、レーニン!』というタイトルから、
どうせ社会主義の崩壊と資本主義体制の勝利を描いた作品だろう、
と想像していたので、はじめはあまり観る気がしなかった。

しかし実際に観てみて、印象が大きく変わった。

決して資本主義の勝利を謳った単純な作品ではなかったからだ。

冷戦末期の東ドイツに暮らす母と娘と息子の3人家族。

主人公は、アレックスという名の息子だ。

父は西ドイツに亡命してしまい、
母は熱心な社会主義者として活動していた。

ある日、母親が心臓発作で倒れ、昏睡状態に陥ってしまった。

一命を取りとめたものの、意識がないまま約8ヶ月が過ぎた。

やがて母親は奇跡的に意識を取り戻した。

しかし医師から厳しく忠告されたのは、
母親がショックを受けるようなことは決してしないように、とのことだった。

ところが、その間、東ドイツは激変した。

ベルリンの壁は崩壊し、東西ドイツは統一された。

西側の商品が大量に流入してきた。

しかも「資本主義の勝利」によって旧東独にもたらされたのは、
コカ・コーラとバーガー・キングとポルノが溢れる俗悪な消費文化だった。

このような現実を母親に見せては、それこそ命に関わるショックを与えかねない。

そう考えたアレックスは、母親のために大芝居を打つことにした。

東ドイツの社会主義は健在であることを何とか母親に信じ込ませようとしたのだ。

母親がピクルスが食べたいと言い出せば、
アレックスは必死に旧東ドイツ製の瓶詰めピクルスを探し回った。

母親の見舞いに来るひとは、
東ドイツ時代の地味な服装に着替えて部屋に入った。

テレビが観たいと言い出したときにはアレックスは困ったが、
映像編集が趣味の友人が「偽ニュース番組」を作り上げ、それを見せた。

ここでとてもおもしろいのは、
ベルリンの壁崩壊後に東ドイツ住民が西側へ流れこむ実際のニュース映像が、
そして、壁によじのぼる人々が映し出された実際のニュース映像が、
東ドイツの勝利を表すニュース映像に様変わりしてしまうことだ。

実際のニュース映像を使いながら、そこに偽のコメントをかぶせることで、
西側住民が大挙して東独に流入してきたかのような映像に見えてしまうのだ。

母親が見ているニュースは、「社会主義の勝利」を伝えていたのである。

この作品は、資本主義の勝利を描いているのではなかった。

そこがおもしろかった。

(監督ヴォルフガング・ベッカー/2003年ドイツ)












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