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zoom RSS ポール・ラファルグ『怠ける権利』(平凡社ライブラリー)

<<   作成日時 : 2008/09/27 00:54   >>

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ポール・ラファルグと聞いて、誰のことだかすぐに分かったひとは、
かなりの「事情通」だ。

彼は、あのカール・マルクスの次女ラウラの夫である。

しかし、マルクス自身は彼のことをあまり評価していなかったらしい。

彼は、国際社会主義運動・共産主義運動に身を投じ、
投獄もされた経験もあるようだ。

そして、70歳を迎える直前、妻のラウラとともに自殺した。

「事情通」は、このあたりまでは知っている。

だが、ポール・ラファルグの名前を知っているひとでも、
彼の著作を読んだことのあるひとはほとんどいないのではないか。

かく言うわたしは、この本しか読んだことはないのだが。

タイトルがおもしろい。

『怠ける権利』である。

「怠けること」は資本主義社会では端的に罪悪だが、
これを「権利」として堂々と主張しているのである。

経済学者たちは、たえず労働者に向かってくりかえす。社会の富を増やすために、働け! と。(30頁)


そうだ。

働け、という。

「働け、働け、君たちの安楽を産み出すために絶えず働け!」(31頁)


働けば、こんなモノもあんなモノも買えるぞ、と脅す。

働け、働け、プロレタリアート諸君。社会の富と、君たち個人の悲惨を大きくするために。働け、働け、もっと貧乏になって、さらに働き、惨めになる理由をふやすために。これが、資本主義生産の冷酷な法則なのだ。(31頁)


昨今の格差社会で生活苦を強いられているひとたちよ。

これは実感として理解できるであろう。

自然の本能に復し、ブルジョワ革命の屁理屈屋が捏ねあげた、肺病やみの人間の権利などより何千倍も高貴で神聖な、怠ける権利を宣言しなければならぬ。1日3時間しか働かず、残りの昼夜は旨いものを食べ、怠けて暮らすように努めねばならない。(37頁)


おお、1日3時間労働!

この思想に影響を受けたのが、
じつはマルセル・デュシャンだったそうだ。

彼はこの「1日、3時間労働」を座右の銘としたそうだ。

社会の底辺で過酷な労働に苦しむひとがいる一方、
上流社会のひとたちはどのような暮らしをしているのだろうか?

上流社会の女たちは、殉教者さながらの暮らし方をしている。縫い子たちが心血注いで縫いあげたすばらしく綺麗な衣装の試し着をやり、見ばえをよくさせるために、あっちのドレスからこっちのドレスへと、一夜のうちに何回も往復する。からっぽの頭を何時間でも美容師に預け、預けられた者はといえば、人工捲き髪をうずたかく積み上げたがる彼女たちの欲望を、なんとしても満足させようとする。コルセットで締めあげ、細身の編上げ靴を窮屈にはき、下品な工兵のような輩でも顔を赤らめるほど背中を剥きだしにしたドレスを身につけ、貧民たちのためになにがしかの金をかき集める慈善舞踏会で、夜っぴて幾晩も踊りまくる。聖女のような心がけだ!(45頁)


「からっぽの頭」!

すごい罵詈雑言である。

そして著者は、「怠惰の賛歌」を高らかにうたう。

古代奴隷身分の惨めな典型、キリストのように、《プロレタリアート》は老若男女を問わずこの1世紀来厳しい苦難の丘を営々と登っている。この1世紀来、強制労働が彼らの骨を砕き、肉体を痛めつけ、神経を苛んでいる。この1世紀来、飢えが彼らの臓腑をよじらせ、脳髄に幻覚を呼び起こしている……。おお、《怠惰》よ、われらの長き悲惨をあわれみたまえ! おお、《怠惰》よ、芸術と高貴な美徳の母、《怠惰》よ、人間の苦悩の癒しとなりたまえ!(67頁)


プロレタリアートというのは、労働者階級のことである。

自分の労働力を商品として企業に売って、
ささやかな賃金を得て生活をしている労働者のことをいう。

それにしても、
日本でもほんの数人しか読まないであろうこの本を、
儲け抜きで出した出版社の勇気ある活動に拍手を送りたい。

平凡社よ、すばらしいぞ。
















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