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zoom RSS アイリーン・パウア『中世に生きる人々』(東京大学出版会)

<<   作成日時 : 2008/09/18 00:47   >>

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歴史を学ぶということは、わたしたちの思い込みを打ち破ることである。

当たり前だと思っていたことが当たり前ではないことを、知ることである。

西洋史の研究者には必読文献だと思うが、
これは一般の読者が読んでもたのしめる本だと思う。

さて、この本は、
中世のヨーロッパ社会に生きるひとびとの姿を描いたものである。

修道院とは、どのようなところなのだろうか?

修道院の内部は、厳かな雰囲気に包まれている。

禁欲的な生活の中には、笑いもなく、厳粛さだけがある。

そんなイメージがあるだろう。

ところが、この本を読むとそんなイメージは覆される。

中世後期の修道院において時間不励行の罪はごく普通のことだった。勿論、この点僧の方が尼僧よりいつも悪かった。彼らは時々祈祷を「さぼった」。そのうえ非常に軽薄に振舞うことが多く、たとえば1330年のエクサタの僧(キャノン)の如きは、祈祷の間にくすくす笑い、ふざけ、喧嘩をし、下の席でうたっている人の剃った頭に上の席からあつい蝋燭の蝋を落とした。(111頁)


なんともお茶目な「いたずら」である。

時間を守らないのは当たり前。

祈りの時間にふざけ合うこともしばしば。

しかも、ロウソクのロウを下のひとの頭に垂らすなんて……。

静かに祈る修道僧というイメージは、変わってしまう。

婦人連はよく犬を膝にのせ、男たちは手首に鷹をとまらせて礼拝に出席した。(124頁)


動物まで連れ込んでいたのか。

にぎやかな祈りの空間である。

この本では古い文献からの引用も豊富なのだが、
その中に次のような言葉があった。

神は女に3つの技能を与えたという。





糸紡ぎ

である(173頁)。

糸紡ぎができる女性は、現代にはほとんどいないだろうから、
この技能は神から与えられたものではなかったということだろうか。

では、「嘘」と「涙」については、どうなのだろうか?

この本では、「小児結婚」についても書かれている。

現代のわたしたちから見ると、びっくりするような内容である。

どれどれ。

恋愛や成人同志の結婚を祝福する現代の考え方から見れば、騎士道時代の結婚がふつう事務的にとり決められ、一人前の男が屢々わずか10代の少女と結婚するのを見て驚くであろう。当時、少年は14才で成人に達し、少女は12才で成人すると考えられた。……現代の英国が懐かしい昔の日とどんなに異なるかは、グラース・ドゥ・サルビーの場合に明瞭である。彼女は4才のとき、広い耕地をもっていたために大貴族と結婚し、2年して夫が死ぬと他に嫁ぎ、11才の年に3度目の夫と結婚した。……3才のジョン・リグマーデンは司祭の腕に抱かれて教会にゆき、結婚のことばを繰返すようになだめすかされた。しかし式の中途で、今日はこれ以上習うのはいやだといった。司祭は「もう少しいわなくてはいけませんよ。そうしたら遊べるのです」と答えた。10才のジェームズ・バラードが妻のジェーンと結婚したのは「夜の10時で、当時コーンの代理司祭をしていたサー・ロージャー・ブレーキイのほかは友だちも立会わなかった。……翌朝、このジェームズは叔父に向って、妻のジェーン(大柄な少女で、当時もう結婚できる年令であった)は2人でケルンにいって結婚しようと林檎12箇で誘ったと話した。」(193−194頁)


なんと4歳で結婚した女の子がいたというのだ。

しかも彼女は、11歳のときにはすでに3度目の結婚だったという。

さらに驚くのは、3歳の子が教会に連れて行かれたのは、
じつは自分の結婚式だったというのである。

小学生・中学生・高校生の女性たちよ。

恋愛をするには早すぎるなどと小うるさい親に言われたら、
この話をしてみるといい。

「やかましい」とゲンコツを食らうだけかもしれないが。

ところで、りんご12個でプロポーズできた時代もあったのだなあ。











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