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zoom RSS 高橋哲哉・斎藤貴男編・著『憲法が変わっても戦争にならないと思っている人のための本』(日本評論社)

<<   作成日時 : 2008/07/11 13:50   >>

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長いタイトルの本であるが、内容はきわめてやさしい。

世界最強の軍事大国アメリカに日本がいかに従属しているかということ。

「9条改憲」は、アメリカ政府の強い要望であること。

「思いやり予算」などという名目などで、
なんと米兵1人当たり約1650万円もの資金援助を行なっていること。

こうしたことが、次々と明らかにされる。

日本国民に対しては、生活保護費を削減し、
「後期高齢者」の命を切り捨てようとしている一方で、
米軍のためには住宅を建設してあげ、
基地内の水道光熱費のほぼ全額を負担してあげているのである。

憲法が変わっても戦争にならないと思っている人は、よっぽどの鈍感か。

いや、じつは戦争に反対などしていないと受け取った方がよいのではないか。

さて、戦争ができる国を作るには、どうすればいのだろうか?

「戦争国家」のレシピ。

高橋哲哉は「戦争する国と愛国心」(本書所収)で書いている。

靖国神社と国家神道のシステム、そして学校教育というシステム、この二つがフル回転して、国民の心をそういうふうに作り上げていく。それがなければ、あの総力戦を何年も戦うことはできなかったのです。(121頁)


国家が戦争をするためには、何が必要か?

国家が他国の市民を大量に殺戮するには、何が必要か?

まずは、軍事力が必要である。

武器を使って人間を殺すのだから、これは当然不可欠だろう。

そして、その軍事力の行使を正当化する法律の準備も必要である。

でないと、戦争が「違法行為」になってしまう。

同時に、戦争に反対するひとびとを処罰するための法律も必要であろう。

しかし、それだけではまだ十分ではない。

国家が戦争をするためには、それにすすんで協力する国民を作っておく必要がある。

みずから喜んで人殺しになる国民を作っておく必要がある。

そのためにはどうすればよいか?

高橋哲哉が指摘しているのは、

@ 靖国神社と国家神道のシステム
A 学校教育というシステム

この2つのシステムである。

これらは、戦争に協力的な「国民精神」を育成するための装置だ。

この2つのシステムを作動させることによって、
国家は国民を戦争に総動員させてゆくのである。

武器や法律があるだけでは、戦争はできない。

戦争を遂行するためには、戦争に参加する「国民精神」を作り出す必要がある。

これが、国家による「洗脳」のからくりだ。

@は、首相・閣僚・政治家による靖国参拝で実現しつつある。

Aは、教育基本法「改悪」と愛国心教育で準備ができている。

そして高橋哲哉は、こう結んでいる。

……歴史を知ることが最も重要だと思います。私自身に関していえば、歴史を知って初めて、国家が国民をだますとか、軍隊は国民を守らないのだと学びました。(141頁)


まさにそのとおりだと思う。

国家は国民を騙す。

軍隊は国民を守らない。

歴史を学べば、このくらいのことはすぐに分かる。

歴史に無知なひとびとは、国家を信用し、軍隊を信用する。

軍隊は国民を守ってくれると信じ込んでしまう。

あほか。

しかしながら、国家を信奉する彼らに「あほか」と言うだけではダメだ。

その「あほ」にわれわれは殺されかねないのだから。

戦争をするために、政府は具体的にどのような準備を着々と進めているのか。

このことを具体的に解説しているのが、
斎藤貴男「戦争への3点セット――監視・格差・個性の否定」(本書所収)である。

ここでとりわけ重要なのが、国民を監視するためのシステムだ。

すでに監視システムは設置・強化されているのだが、
その代表的なもののひとつが「住民基本台帳ネットワーク」だ。

きのうだったか、
住基ネットに参加していなかった杉並区が、最高裁の判決に従って、
これに参加することを決めたというニュースがあった。

住基ネットは、国民の生活が便利になるのだ。

戦争とは関係がない。

そう思っている、のどかな人びともいるであろう。

では、住基ネットには、どのような危険性があるのだろうか?

住民基本台帳の個人データ(氏名、性別、生年月日、住所)が、ネットワークですべての市町村・都道府県・総務省の外郭団体と結ばれています。希望者にはICカードが交付される。……政府のIT戦略本部は、いずれこれに運転免許証やパスポート、健康保険証や公的年金カード、印鑑登録証、会社の社員証、キャッシュカード、クレジットカード、病院の診察券、鉄道定期券など、官民のありとあらゆる個人情報を盛り込ませていく計画で、すでに実験も進んでいます。国民一人ひとりの情報は、すべて政府によってデータベース化され、一元的に管理されていく。いわゆる「国民総背番号制」です。(148−149頁)


すでに実験が進んでいるというところが、怖ろしい。

まさに、ジョージ・オーウェルの『1984年』の世界である。

ザミャーチン『われら』の世界であり、
オルダス・ハックスリー『すばらしい新世界』の世界である。

コンピュータを駆使した監視国家。

それぞれの個人がどんな病気にかかっているのか。

どんな買い物をして、どんな本を購入しているのか。

いつどこに行ったのか。

誰と行ったのか。

こうしたことが、すべて情報として政府によって管理される可能性があるわけだ。

ひとびとは、そんな国家を本当に望んでいるのだろうか?

もし望んでいなかったとしても、
こうしたシステムの構築に反対も抵抗もしないとしたら、
あなたがたはそれを結果的に望んでいるということになるのである。









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