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zoom RSS 武田徹『「隔離」という病い』(中公文庫)

<<   作成日時 : 2008/07/10 18:55   >>

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ハンセン病患者の「強制隔離」がいかにして行なわれていったのか。

近代国家としての体裁を整えようとした日本が、
経済成長の陰で実践していた生々しい暴力の歴史を、本書は描き出す。

ハンセン病患者に対する差別を扱った映画に、
『砂の器』がある。

まだ観ていないひとはぜひご覧いただきたい。

ハンセン病患者は、近代化を急ぐ日本にとって、
「恥ずかしき存在」と見なされた。

文明国たる日本には「存在してはいけないひとびと」とされた。

汚れた血統にあらわれる遺伝病だとか、自堕落な行いを行った結果、発病する業病、天罰が下った結果の天刑病だとされていたハンセン病は、それに罹る者を差別の対象とし、さらには共同体から駆逐、浮浪させた。(25頁)


今風の言い方に直すならば、
ハンセン病患者たちは「自己責任」だということになるだろう。

赤痢菌を発見した志賀潔も、
ハンセン病患者に対して断種を行なうように奨励したという。

家族は、身内にハンセン病患者がいることを恥じた。

政府は、日本各地に隔離施設を作った。

アジアの先進国を名乗る日本の近代化とは、
所詮この程度のものだったのである。

ところで、本書の特徴は、隔離政策の解説にとどまらないところにある。

以下にその部分を引用しよう。

満州国を成立させた満州事変の年と、日本初の国立ハンセン病療養所、長島愛生園が竣工した年は同じ1931年。満州事変に続いて満州国ができたのが翌32年、国立ハンセン病療養所もこの年に愛生園に続いて草津の楽泉園などが作られている。この一致が単に時期的な符号に留まらないように僕は思うのだ。(89頁)


満州事変とハンセン病隔離施設の創設。

これらが同じ年に見られるのは、決して偶然ではない。

そう筆者は言う。

これはきわめて重要な指摘であろう。












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