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zoom RSS 中島みち『「尊厳死」に尊厳はあるか』(岩波新書)

<<   作成日時 : 2008/07/06 13:16   >>

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2006年3月、富山県の射水市民病院で事件が発覚した。

入院中の末期患者7人の人工呼吸器が取り外され、
死亡していたことが明らかになったのである。

これについてわたしは、当時、早速記事を書いて、
人工呼吸器を取り外した医師(以下、X医師としておく)の行為を厳しく批判した。

まだ読んでいない方は、まずはその記事をご覧いただきたい。
安楽死(1)」「安楽死(2)」「安楽死(3)

本書は、この「射水市の人工呼吸器取り外し事件」を取材したものだ。

X医師にも直接取材をしている。

尊厳死の法制化が進められようとしているなか、
終末期医療のあり方を考えるうえでも、おすすめの1冊である。

ただし、中島みちの筆は、重苦しい。

明晰さを欠き、最後までよどんでいる。

著者のこれまでの著作とは、だいぶ印象が異なる。

なぜなのだろう?

おそらく、著者は問題のX医師にインタビューをして、
相当にショックを受けたにちがいない。

心の動揺・怒り・失望が筆に滲んで、文章が乱れているようだ。

わたしがこの事件について記事を書いたときには、
まだそれほど情報はなかった。

この本を読んで驚いたのは、
これほど地方の医師がひどいのか、ということだった。

もちろん地方で治療にあたっている医師のすべてがひどい、
と言っているわけではない。

しかし、このX医師のように守るべき「医の倫理」も容易に無視し、
「脳死」の定義も説明できないくせに自分の無根拠な直観にもどついて
「脳死状態なのでもう無理です」などと断言してしまう医師は、
決して少なくないのではないか、と思わずにはいられない。

読後感は、きわめて陰惨な気持ちになる。

人工呼吸器を取り外された7人のケースは、
いずれも不自然であり、X医師の暴挙としか言いようがないからだ。

そして、医師を中心としたピラミッド型の組織がいかに危険で、
「チーム医療」の推進がいかに重要なのか、ということも考えさせられる。

それにしても医師の水準はひどすぎる。















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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
いまこの本を読み終えたばかりなんですが。。「脳死」という言葉が、安易に医師のあいだで使われているのかと思うと、残念でなりません。中島さんの戸惑いや怒りが感じられる文章を読むのはとても辛かったです。

印象に残ったのはX医師の「患者のいよいよ最後というとき、拡大していく瞳孔に自分の顔が映るんですよね」という言葉です。
彼は患者さんをみていたのではなく、自分をみていたんですね。
瞳孔拡大していないときに「脳死状態です」と家族に説明したり、インフォームドコンセプトを十分にせずに手術をしたり、家族全員が集まるまで生かすためだけに人工呼吸器をつけ、集まったところで呼吸器を外すという「死の儀式」など。。。
もしわたしが中島さんの立場にいたら、X医師の顔を直視するのもいやです。
長くなりました。すみません。
サブシルマ
2008/08/17 18:45
◆サブシルマさま

こんばんは。コメントをありがとうございます。

先日、このX医師がまたメディアに露出して会見を開いていました。日本テレビ「NEWS ZERO」では、男性キャスターがX医師に単独インタビューを行なっていました。しかし、このキャスターは、ただ医師の一方的な言い分を聞いていただけでした。きっとこのキャスターは、何の事前取材もせず、勉強もせずに、インタビューを行なったのでしょう。この本を読んでいたわたしは、インタビューを見ていて、何度ももどかしさを覚えました。

この本は、たしかに読んでいてつらくなる本ですね。筆者の筆の重さが伝わってきます。
影丸
2008/08/17 21:14

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