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zoom RSS 『アフガン零年』★★★★☆

<<   作成日時 : 2008/04/14 19:51   >>

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タリバン政権下のアフガニスタン。
そこでは、女性は学ぶことも働くことも禁じられていた。

タリバンについて知らないひとに、簡単にご説明しよう。

タリバンは、イスラム原理主義を掲げる組織であり、
いうなればイスラム教過激派の極右(ウルトラ右翼)である。

排他的で自己中心的な思想を実現するために、
イスラム教という宗教を利用していた。

バーミヤンの大仏をダイナマイトで破壊したことを、
覚えているひともいるだろう。

タリバンの思想的特徴をよく示している、あるエピソードを紹介しよう。

爆撃と戦闘によって破壊されたバザール(市場)のなかに、
ひとりの少年が立っていた。

彼は12歳くらいのほんの少年で、頭髪は剃られていた。

首には縄が巻かれていて、市中を引きずりまわされていたのだという。

見せしめの刑罰のためだった。

処刑されてもおかしくはなかっただろう。

この少年は、いったいどのような悪事をはたらいたのか?

殺人だろうか?

窃盗だろうか?

いや、少年はただボール遊びをしていたのだった。

それだけだった。

ただ「テニス」をしていただけだったのだ。

ボール遊びをしているところを現行犯で捕らえられ、
頭髪を剃られ、首に縄をくくり、街中を引きすりまわされたのだ。

(イクバール・アフマド『帝国との対決』より)

信じられないだろうが、タリバンはいっさいの娯楽を禁じた。

ボール遊び、凧揚げ、音楽、映画などは、処罰の対象だった。

タリバンにとって娯楽は、
ひとびとのモラル・信仰を堕落させるものだった。

タリバンは、女性に対して、学校に行くことや仕事に行くことも禁じた。

こうした背景を頭に入れて、この映画を観てほしい。

主人公は、13歳の少女。

祖母・母親と暮らすその家族のなかに、男はひとりもいない。

タリバンに殺されたからだ。

女3人だけでは、食べていくこともできない。

そこで、少女は長い髪を切り落とし、少年になった。

生きていくために「少年」になった。

観るべきは、タリバンへの強い批判だけではない。

この作品は衝撃的で見事な映画だ。

ふいに挿入される縄跳びをする少女のシーン。

切り落とされた髪を植木鉢に植えるシーン。

少年が足を引きずりながら歩く後ろ姿。

主人公の少女の悲しみと恐怖をたたえた表情も、また、
わたしたちは忘れれることはできない。

ほかにも忘れがたいシーンがいくつもある。

なかでも強い印象を残すのが、
時折アップになる鍵・扉・ヴェールだ。

ぜひ多くのひとに観てほしい作品だ。

監督は、こう述べている。

この映画の少女はアフガニスタンの悲劇そのものなのです。
そして、世界がアフガニスタンを忘れれば、
悲劇は再び繰り返されるかも知れません。
(WEBサイト『アフガン零年』より)


歴史を自分の都合のよいように捻じ曲げる連中が、
うじゃうじゃと虫のようにわいている日本で、
この映画を観ることの意義はきわめて深い。

日本にはまだまだたくさんいるであろう。

女性は家事・育児に専念すべきだ、などと戯言を吐く連中が。

日本の保守派・ナショナリストにこういう類は多い。

こういう連中は、「ぷちタリバン」と呼ぶに相応しい。

尚、この極右のタリバンは、
あのオサマ・ビンラディン率いるイスラム原理主義組織「アルカイダ」
とも近しい関係にあると言われている。

(監督セディク・バルマク/2003年アフガニスタン・日本・アイルランド)














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『アフガン零年』
復興の地アフガンに、希望の花は咲くだろうか。 その青い空に、虹が掛かる日は来るだろうか。 アフガン、ゼロ年。今、ここから祈りを届けて。 ...続きを見る
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