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zoom RSS 中島岳志『パール判事』(白水社)

<<   作成日時 : 2008/02/15 15:51   >>

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小林よしのり。安倍晋三。

破廉恥このうえないこれらの名前を、震える怒りなしに書くことはむずかしい。

彼らは、パール判事のことがお好きである。

彼らに限らず、歴史を偽装したがる連中はパール判事がお好きだ。

日本の企業は偽装が得意だが、
日本の右派ナショナリストたちは歴史の偽装が得意だ。

小林よしのりは、作品のなかでパール判事を引用している。

安倍晋三は、首相在任中、パール判事の息子に会いに行っている。

パールは、東京裁判で裁判官をつとめたインド人判事である。

東京裁判で、被告を無罪とする意見書を出した人物だ。

そこから、パール判事は日本の無罪を主張した、日本の味方だとして、
右派ナショナリストたちにパール判事は都合よく利用されることになる。

パール判事は、東京裁判を批判した。

しかしそれは、日本が正しいと思っていたことを示しているわけではない。

「平和に対する罪」「人道に対する罪」は、国際法上の根拠がない。

東京裁判は、勝者による不公平な裁判である。

そう批判したのである。

だが、「通例の戦争犯罪」で日本を裁くことは、認めていた。

ガンジー主義者であったパール判事は、
日本の戦争行為を容認してわけでもなければ、
ましてや「大東亜戦争」を肯定してなどいるはずもなかった。

張作霖爆殺事件を「無謀でまた卑劣である」「殺人という卑怯な行為」と論じた。

満州事変を「非難すべきもの」と論難した。

満州国建国を「手の込んだ政治的狂言」として、
南京大虐殺やフィリピンでの虐殺事件を「鬼畜行為」と厳しく批判した。
(本書278頁参照)

にもかかわらず、右派ナショナリストたちは、
パール判事を自分たちの都合のよいように利用する。

「大東亜戦争肯定論」に都合よく利用する。

これだけとっても、不誠実きわまりない態度であろう。

誤ったパール判事の姿を、正しく捉えなおす。

それが本書のねらいだ。

右派ナショナリストのみなさん、バカですなあ。

パール判事はそんなことは言っていませんよ、というのが主旨である。

著者は、パール判事の思想について詳しく紹介している。

ただ、その思想に対する考えについては、書くことを慎重に避けている。

まずは正しいパール判事像を、ということであろう。














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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは!
パール判事の事は、以前NHKスペシャルでやっていたのをみましたが、遠い記憶の彼方です。
その番組で印象深かったのは、パール判事が東京裁判に出向いたときにすでに、判事たちが判決方針を決めていたという事と、それに対して千ページもの意見書を提出したりして闘った事と、オランダかどこかの判事との友情物語でした。
虚覚えなので間違っているかもしれませんが…
そういう人の想いを無視して、自分の都合のいいように言葉を刈り取るのって哀しいです。
確か櫻井よしこも、おんなじようにパール判事を持ち出していますね。
何がしたいんですかね(また戦争したいんでしょうか?)
今までもいろいろと興味深い本を記事で挙げられて、読んでみたいと思っているのですが、まず、こちらの本を読んでみたいと思います。
sendo
2008/02/16 22:37
◆sendoさま

こんばんは、コメントどうもありがとうございます!
なるほど、櫻井よしこならそういうことをしかねませんね。日本のことをまるごと正当化したいのでしょう。それでジャーナリストと名乗っているのですから、おかしくって仕方がありません。

この本『パール判事』は、あっという間に読める本なので、ぜひ読んでみてください。右派ナショナリストたちのいい加減さが、よく分かりますよ。
影丸
2008/02/19 00:13

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