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zoom RSS ダグラス・ラミス『憲法は、政府に対する命令である。』(平凡社)

<<   作成日時 : 2008/01/29 12:03   >>

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あっという間に読める、憲法の解説本である。

ダグラス・ラミスの文章は、ユーモアがあってたのしい。

皮肉もきいている。

ところで、日本国憲法はアメリカによる「押しつけ憲法」だという妄想を、
まだ信じ込んでいるひとびとがいる。

だから自主憲法をつくるべきだ、
日本らしい日本の特徴にあった憲法をつくるべきだ、という。

日本国憲法は西洋の価値観が入っているというのだ。

彼らにとって西洋からの「借り物」は気に入らないらしい。

西洋の価値観を受け入れることがイヤなのだそうだ。

西洋型の民主主義は日本にはなじまない、といった意見もある。

とくに彼らは人権思想が気に入らないらしい。

「人権」ばかり主張する個人主義は、利己主義を生む。

国民としての「義務」を軽視する。

こんな無理解を平気で言っているひとを、ときどき見かけますね。

では、うかがいましょう。

西洋の価値観をすべて否定することが、本当にできますか?

彼らが理想とする大日本帝国憲法も、西洋をモデルにしたものですよ。

おい、矛盾しているぞ。

そもそも近代国家、それ自体が西洋で生まれた制度ですよ。

資本主義も西洋出身の制度ですよーだ。

西洋の価値観を否定するひとは、これらの制度すべてを拒むなら、筋が通る。

だが、彼らは、都合のよいところだけをつまみ食いしようとしている。

いや、つまみ食いならまだマシかもしれない。

彼らは歴史のネジを逆にまわそうとしているのだから。

もとより、彼らが自由に発言できること自体、
西洋出身の「表現の自由」という制度で守られているからこそ可能なのだ。

そのことを忘れてもらっちゃあ困る。

このことに関連して、ダグラス・ラミスは、最後にこうまとめている。

 興味深いことに、西洋から導入されたものなどいらない! と叫ぶ人は、政府の執行部はいらない、司法部はいらない、官僚はいらない、警察はいらない、刑務所はいらない、軍隊はいらない、また資本主義はいらない、とはいわないだろう。西洋から導入されたいろいろなものから人権だけを選んで、いらない、といっているのだ。
 西洋出身の近代的な人間管理制度をそのままにし、それに対してある程度人間の安全保障となる人権だけを「西洋思想だから」といって、否定しようとする。
 しかし、そんな“人権無しの完全管理制度”が西洋で知られていない、というわけでもない。ちゃんとした名前がすでに存在するのだ。それが「全体主義」である。


もっとも、わたしは日本国憲法をすべて正しいと考えているわけではない。

西洋の価値観をすべて肯定しているわけでもない。

安易な西洋批判は、己の愚劣さを露呈するだけですよ、
と「日本らしさ」を素朴に信じている方々にご忠告申し上げたい。














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