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zoom RSS 酒井直樹『日本/映像/米国』(青土社)

<<   作成日時 : 2008/01/25 19:25   >>

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必読の書である。
ラディカルな知性の本領発揮である。

『ディア・ハンター』
『二十四の瞳』
『ビルマの竪琴』
『慕情』
『ペパーミント・キャンディー』など、
有名な映画作品を取り上げることで、
戦争や暴力と国民感情がどのような共犯関係を築くのか、
ということを緻密に分析している。

本書の優れた点は、映画批評だけではない。
日本とアメリカの関係を考えるうえで、貴重な視点を提供してくれている。

例えば、アメリカは日本の天皇制をどのように位置づけていたのか。
このことを考えるのに、エドウィン・ライシャワーのレポートを引用しながら、
著者は対日占領政策の本質を明らかにしていく。

ライシャワーは、「対日政策にかんする覚え書き」(1942)の中で、次のように述べている。

「日本は何度も傀儡政府の戦略に訴えてきましたが、たいした成功を収めることはできませんでした。というのも、彼らが用いた傀儡が役不足だったからであります。ところが、日本それ自身が我々の目標に最も適った傀儡を作り上げて」いる以上、例えば、満州国皇帝溥儀よりずっと有効な傀儡に裕仁を仕立て上げうるのであり、彼は「天皇を我々の側に寝返りさせ」、合州国の占領への協力と合州国への友好の象徴として利用することが得策だと主張しているのである。


戦後日本は、この方針に沿って、占領統治された。
そして、この考えは日本人の思考にも絶大な影響を及ぼした。

「天皇は平和主義者であった」というおとぎ話を国民は信じ、
アメリカの戦略に見事に組み込まれていったのである。

天皇は、アメリカ政府の傀儡である。
ただの操り人形である。
皇帝溥儀が大日本帝国の傀儡であったのと同じように。

この視点は、きわめて重要だ。

溥儀を崇拝するひとびとが、どのような位置におかれるのかを考えればよい。
当時、溥儀を崇拝することは、すなわち大日本帝国の崇拝に直結しただろう。

戦後の天皇制を支持することは、
ただちにアメリカ帝国主義にひれ伏すことを意味するわけだ。

日本の「右翼」は、「自主・自立」などともっともらしく叫ぶのだが、
彼らは一貫して「親米路線」という名の対米従属に陥っていく。

その秘密は、天皇がアメリカの傀儡だという点に求めることができる。

アメリカからの「自立・独立」を本気で考えるのならば、
天皇制の廃止を主張しなければ筋が通らない。

天皇制は、アメリカによる日本支配のからくりなのだから。

酒井直樹の筆は、さらにNHK番組改竄問題に進む。

女性国際戦犯法廷の会場になだれ込み国際法廷を妨害しようとする右翼は、じつは、合州国の利権を擁護するためにあのような茶番じみた暴行を行おうとしたのであり、「問われる戦時性暴力」〔注:NHKの番組〕の改ざんを指示した日本会議の政治家〔注:安倍晋三! 中川昭一!〕は、合州国の出先のチンピラとして横槍を入れたのである。そのチンピラの一人が、現在日本の首相〔注:すでに前首相!〕になっている。


天皇制がアメリカの占領政策の産物であるなら、
日本の右翼はアメリカの忠実な下僕・アメリカの手先となるのは必然だ。

アメリカ合州国の手先のチンピラ、安倍晋三!

右翼による「国辱的な言動」!

これ以上のブラック・ユーモアがあるだろうか。
これ以上滑稽な「愛国者」がどこの国にいるだろうか。

日本の少女がアメリカ軍兵士に集団でレイプされたとしても、
日本の右翼は誰一人として抗議をしなかったではないか!

じつは、当時わたしは、アメリカ大使館の前で抗議を行なった。
そこに右翼の姿はひとりもいなかった。

右翼・保守系の政治家は、日本国憲法をアメリカによる「押し付け憲法」だとして、
改憲をもくろんでいる。

では、なぜいま改憲をしなければいけないのか。
理由は簡単だ。
アメリカに要求されているからだ。
アメリカの世界戦略に貢献するように求められているからだ。

「自主憲法制定」という欲望は、対米従属と一致しているのだ。

ここでも繰り返される滑稽な構図。

アメリカから本当に独立したいのならば、
アメリカが「9条改憲」を求めている今こそ、
「9条」を守り抜くべきであろう。

ところで、著者によるジョン・ダワー批判、小熊英二批判は、要注目である。












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森巣博『越境者的ニッポン』(講談社現代新書)@
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