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zoom RSS 河辺一郎『国連と日本』(岩波新書)

<<   作成日時 : 2007/10/19 02:08   >>

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日本は、国連安保理の常任理事国になるべきだ。

こういう素朴な意見がある。

困ったことに、若者にもこういう意見は少なくない。

なぜそんなに常任理事国になりたがるのだろうか?

ひとつには、日本が世界第2位の経済大国なのだから、という理由があるだろう。

日本は多くの国連分担金も負担している。

それなのに常任理事国に入っていないのはおかしい、というわけだ。

しかし、これは、日本は経済大国なのだから、それにふさわしい地位をよこせ、
と言っているにすぎない。

あまりにみっともない動機ではないか。

日本の常任理事国入りを主張するひとは、「欲望の露出狂」である。

成金によく見られる、みっともない精神性である。

常任理事国になれば、
国際社会から自動的に尊敬されるとでも思っているのだろうか。

しかも、経済大国だから常任理事国になるべきだということは、
裏返せば、経済的に弱小の国々はそれなりに低い地位に甘んじているべきだ、
という露骨な経済至上主義・大国主義が顔を見せている。

金の力がすべてに優先すると思っているのと同じである。

そこでは、常任理事国になって何をするのか、ということは議論されない。

何をするのか、ではなく、何になりたいか、という欲望しかない。

もし常任理事国になったとして、いったい何がしたいのか?

具体的に何をしようとしているのか? おい?

もうひとつ、国際社会で貢献するには、
発言権の大きい常任理事国になる必要がある、という理由もあるだろう。

しかし、ここでもやはり先の疑問が生じる。

影響力を強めて、具体的に何をするのか?

今まではできなかったことが、
常任理事国になったとたんにできるようになるのか?

日本の常任理事国入りを主張するひとは、
これまで日本が国連の場で何をしてきたのか、知っているのだろうか?

知らずにただただ常任理事国になりたいと言っているのだとしたら、
たんなる無知の愚か者であろう。

では、これまで日本政府は国連において何をしてきたのか、
点検してみようではないか。

河辺一郎のこの本を読むと、日本が何をしてきたのかがよく分かる。

日本は、「唯一の被爆国」と称して、
核廃絶・平和主義を訴えてきた……はずだった。

ところが、である。

ざっと見てみよう。

なお、( )内は日本政府のとった行動を示している。

1963年 核兵器使用禁止条約会議開催決議(棄権)
1967年 核兵器使用禁止条約決議(棄権)
1978年 核兵器非配備国への核不配備決議(反対)
1980年 核兵器の不使用・核戦争の防止決議(反対)
1981年 核の惨状防止宣言と中性子兵器禁止決議(反対)
1982年 核軍備の凍結決議(反対)
1984年 非核兵器国の安全強化条約決議(反対)


これがわが日本政府のとってきた態度である。

しかも、これだけでもまだまだほんの一部だ。

日本政府はいったい何を考えているのだろうか?

いったい何をもくろんでいるのだろうか?

核問題・軍縮問題には、きわめて消極的だったのである。

それだけではない。

人権問題に対しても、同じように問題の多い態度をとりつづけてきた。

また、国連分担金にしても、アメリカが滞納しているという問題は、
多くの日本人も知っている。

ところが、じつは日本も慢性的な滞納国だということを、
どれだけのひとが知っているのだろうか。

分担金を滞納しているアメリカを批判する日本人は、
じつは日本政府も分担金を滞納しているのだということを知らない。

もはや笑えないほど滑稽な姿であろう。

無知は怖ろしい。

低レベル核廃棄物の南太平洋への投棄をもくろみ、国際社会から厳しく非難された日本。

人権を抑圧してきたインドネシア政府を熱心に擁護してきた日本。

チリのピノチェト軍事独裁政権を非難しなかった日本。

グアテマラやエル・サルバドルの人権抑圧にも寛大だった日本。

アパルトヘイトを非難されていた南アの白人政権を支えてきた日本。

河辺一郎『国連と日本』を読むと、日本政府の実態がよく分かる。

こんな国が常任理事国になったら、どうなってしまうだろう。

戦慄さえ覚える。

日本が常任理事国になったとしても、アメリカの票が1票増えるだけだ、
と諸外国に陰口を言われていることについて、どう考えるのだろうか?

独自の外交など日本にはないのである。

所詮、アメリカ追従の外交を繰り広げるだけなのである。

こんな危ない国は、常任理事国になってはいけない。

常任理事国入りを求める声を聞くと、わたしは恥ずかしい気持ちになる。

国際社会に対して、恥ずかしくて申し訳ない気持ちになる。














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