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zoom RSS 映画の観方

<<   作成日時 : 2006/03/09 16:56   >>

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しばらく前のことだが、思い出したので書いておく。

テレビ朝日の深夜番組で、映画監督の井筒和幸が映画を採点する、
というコーナーがある。

ご存知の方も多いだろう。

ある日、ハリウッド作品『SAYURI』を井筒監督が酷評していた。

わたしはこの作品を観ていないので、作品の良し悪しはどうでもよい。

問題は、彼の批評の仕方である。

井筒監督は、中国人女優チャン・ツィーが主役であったことにケチをつけた。

なんで中国人に日本の芸者の役をさせるのか、と。

しかも、なんで日本の話なのに英語なんだ、と。

わたしがこれを聞いたとき、あまりの低俗なコメントに呆れた。

そして、またくだらないことを言ってやがると一笑に付して、
この番組のことは忘れていた。

ところが、この「辛口コメント」に共感している人がいると知って、
黙っていられなくなった。

井筒監督よー。

日本人の役を中国人が演じるのが、そんなに気に食わないのかい?

日本人の役は、日本人だけが演じるべきなのかい?

例えばアメリカ人俳優が、イギリス人やドイツ人を演じることなど、
いくらでもあるのだよ。

それにもすべてケチをつけるのかい?

アメリカ人の役は、アメリカ人だけが演じないといけないのか?

ポーランド人の役は、ポーランド人だけが演じないといけないのか?

宇宙人の役を地球人が演じるのもおかしいのか???

あ〜ん?

ハリウッド映画だから英語なのは当然ではないか。

エルンスト・ルビッチの傑作『生きるべきか死ぬべきか』は、ポーランドが舞台だ。

しかし、英語だ。

ベルナルド・ベルトルッチの傑作『ラスト・エンペラー』は、中国や旧満州が舞台だ。

でもほとんど英語だ。

芸者の役をチャン・ツィーが演じたのは、彼女が美しいスターだからだろう。

日本にはそれだけの女優がいなかった、というだけのことだ。

井筒監督よー。

日本人の役を中国人が演じて、何が気に食わないのかい?

TVドラマ『西遊記』は中国の話だが、
これを日本人が演じているのも気に食わないかい?

しかもこのドラマでは、猿やカッパや豚を「人間」が演じているぞ。

そういえば、井筒監督よー。

あなたは、『パッチギ!』を撮っていましたね。

あれは、在日朝鮮人を描いた作品でしょう。

まさか、在日朝鮮人の役を日本人に演じさせてなんかないだろうね???

何か吐き捨てるように悪口を言えば、
それを「辛口批評」と持ち上げてしまう低俗な風土が、この国にはある。

こんなものは、「辛口」でも何でもない。

わたしの偏愛するコラムニスト小田嶋隆がかつて、
サッカー日本代表MFの加地選手をこのように呼んでいた。

「加地手伝い」

まだレギュラー定着と言えない加地選手の頼りないプレーを、このように表現していた。

これを「辛口」と言うのだよ。

「辛口コメント」には、知性とユーモアが必要なのだ。

井筒和幸監督の映画批評は、辛口でも何でもない。

















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内 容 ニックネーム/日時
パッチギ!には在日の人も多く出ていましたよ。
また在日と言っても、戦後の彼等に対する政策が、
いわばボタンの掛け違いみたいになって、おそらく
国際標準的?には、コリア系日本人として扱われるべき
ところが、相変わらず外国人扱いされているだけでしょう。
彼等の実質的日常生活を考えたら、法律的にはともかく、
2世以下は日本人でしょう。だったらなおさら日本人役者が
在日コリアンの役をやっても何等不自然じゃないし、はやい
話が、在日役を必ずしも在日の役者が演じなければならないなんて
ことはないわけで、勢い、井筒監督は間違ったことはやっていない
と思う。
あるいは、百歩譲るとしても、要するに、井筒監督のコメントに対して、
貴殿も井筒監督同様のケチを付けているようにしか思えない。
なかむらたいぞう
2006/03/09 18:31
◆なかむらたいぞうさん。
コメントありがとうございます。

わたし自身への批判は、もちろん大歓迎です。
だが、本文をよく読まずに投げられる批判は、気持ちよく受け取ることはできません。日本人の役者が在日朝鮮人の役を演じるべきではない、などとわたしが述べていますか? そうではないと本文にも書いています。巨匠ルビッチやベルトルッチの名を挙げているのは、そのためです。中国人が日本人の役を演じたっていい。ドラマはすべてフィクションです。
それをいかんと言ったのは井筒監督ですよ。中国人女優に芸者の役を演じさせるのはおかしいと言ったのは、井筒監督ですよ。

ぜひわたしと同様に、井筒監督批判をしていただきたいと思います。なぜなら、それがなかむらたいぞうさんのご意見なのですから。
影丸
2006/03/10 14:32
◆なかむらたいぞうさん。
あなたの意見に見逃せないところがあります。

「2世以下は日本人」という部分です。この言い方は、彼らを深く傷つけるのではありませんか? 在日に対する差別政策を「ボタンの掛け違い」とくくってしまうのも、いまもつづく彼らへの人権侵害・暴力をあまりに軽んじる発言ではありませんか? 英米系のインターナショナル・スクールには大学受験資格を認め、朝鮮学校には認めない政府の方針は、「ボタンの掛け違い」程度のことでしょうか? こうした差別には、国連から何度も是正勧告を受けているのですよ! 「コリア系日本人」という表現は、日本への統合を強調するものであって、彼らのアイデンティティを無視するものではありませんか?

なかむらたいぞうさんのご意見には、差別的な意図は感じませんでした。「実質的には日本人」という言い方も、おそらく好意的に使っているのでしょう。しかし、悪意がなければいいというわけではない。彼らのアイデンティティを尊重することが大切だと思います。
影丸
2006/03/10 15:11

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