フォーラム自由幻想

アクセスカウンタ

zoom RSS 水上勉『飢餓海峡 改訂決定版』(河出書房新社)

<<   作成日時 : 2005/10/22 04:26   >>

トラックバック 0 / コメント 0

久しぶりです。

見えないものへの想像力。

これは、わたしがここ10年以上考えつづけていることだ。

「見えるもの」は、すぐに見える。

見えているから、目の前のものは見えるものとしてある。

だから、「見えるもの」を見るのに、たいした努力は要らない。

ほんとうは、そうとも言えないことはある。

たとえば、レントゲン写真に写った腫瘍の影。

医者にはこれが見える。

でも、医学に素人のわたしには見えない。

つまり、腫瘍の影を見るためには、高度の医学的知識が必要になる。

その意味で、「見えるもの」を見るのに、努力が必要なこともある。

ただ、たいていの場合は、「見えるもの」はすぐに見える。

だから、「見えないもの」に対する想像力がいかに大切か……。

先日、水上勉『飢餓海峡 改訂決定版(上・下)』を読んだ。

場面は、戦後直後の貧しい日本。

津軽海峡で起こった青函連絡船の転覆事故から、この物語ははじまる。

登場するのは、身体を売ってけなげに生きる女。

闇商売で儲ける政治家や商人とはちがって、
しがみつくように必死に生きてきた女。

水上勉の筆は、そんな女に向ける視線がやさしい。

戦後、経済成長を遂げた日本の影で、
このような人びとのいたことを忘れるべきではない。

このような人びとが、命を落としていったことを忘れてはいけない。

楽天や村上ファンドで盛り上がるのもいい。

成功した人びとを見て、そこへ自分の将来を重ねる人もいるだろう。

「見えないものへの想像力」

「不幸への想像力」

いまの日本にもっとも欠けている気がしてならない。













テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
水上勉『飢餓海峡 改訂決定版』(河出書房新社) フォーラム自由幻想/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる